先週の米国株式市場は続落

先週のS&P500は5.79%下げ、ナスダック100は4.79%の下げとなりました。

先週の注目は世界中の金融参加者が見守った6月15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)でした。最終的に利上げ幅は75ベーシスポイント(0.75%)と市場の期待通りの上昇となりましたが、これは1994年来の大幅な利上げです。これを受け、S&P500は1.46%上昇しました。しかし、喜びも束の間のこと、翌16日(木)S&P500は3.25%ほど下落。この日はS&P500採用銘柄の90%以上が下落しました。これにより、S&P500は7日間の取引日のうち5日間の下げとなりました。これは1928年来初めてのことという大変稀なことなのです。また、S&P500はこれまでの11週間のうち10週間下落と、こちらも50年来の出来事です。

100年に1度というパンデミック、40年来の高いインフレと稀な出来事が交差している前例のない状況下で、マーケット内でも数十数年来という事態が起きています。マーケットについてメディアのニュースの見出しも投資家の心理を動揺させるものが多く見られます。

調整局面で大切な心構え

そんな中、先週私が注目したのはペンシルベニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授の発言です。シーゲル教授は1994年に発刊された「株式投資(英語タイトル:Stocks for the Long Run)」という米国株投資のバイブルとも呼ばれている本を書かれており、株式投資の世界では大変有名な方です。同教授は最近のマーケットに対して弱気な発言をしていましたが、6月13日(月)放送のテレビインタビューの中で「踏ん張りなさい。マーケットが下がった今、株式を買い始めれば1年後には後悔していないでしょう」と述べていました。

米国ではベアマーケット(高値から20%以上の下落)に入りしましたが、歴史を振り返ってみますと、ベアマーケットの後には米国株は通常よりも大きくリバウンドする傾向が見られます。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏も「来週の月曜日に相場がどうなるかは誰にもわからない」と語っています。ですが、1つだけわかっているのは、今回の一連の下げが米国市場の長期的な魅力を変えたのではなく、現在の調整局面は、長期的な視点を持って投資をする投資家にとって非常に魅力的な投資の機会であるということです。

今週注目のイベント

今週は米国大手証券会社主催のテクノロジー、メディア、コミュニケーションコンファレンスなどのイベントが開催される予定です。企業のマネジメントによるコメントで相場が動く可能性があります。

なお、現地時間6月20日(月)はジューンティーンス独立記念日で米国市場は休場となります。

また6月22日(水)にはFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が上院銀行委員会で議会証言、翌23日(木)には下院金融サービス委員会で議会証言を行う予定となっており、マーケットを動かす材料となるかもしれません。