【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 32,272.79  ▼638.11 (6/9)
NASDAQ: 11,754.23  ▼332.05 (6/9)

1.概況

米国市場は欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めを警戒した売りが出て大幅続落となりました。82ドル安でスタートしたダウ平均は朝方にプラスとなる場面もありましたが、45ドル高で伸び悩むと再びマイナスとなりました。その後も軟調に推移したダウ平均は引けにかけて急速に下げ幅を広げると結局638ドル安の32,272ドルと安値圏で取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も332ポイント安の11,754ポイントとなっています。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2万7000件増の22万9000件となり市場予想を上回る悪化となりました。また、欧州中央銀行(ECB)は理事会で7月に量的緩和を終了し0.25%の利上げに踏み切る方針を示しました。さらに声明で9月も利上げを続ける方針を示し、インフレ次第では利上げ幅が通常の倍となる0.5%になる可能性を示唆しています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもコミュニケーション・サービスと情報技術、金融、公益事業、素材、エネルギー、ヘルスケア、不動産が2%以上下落しています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄はホーム・デポ(HD)を除く29銘柄が下げました。そのなかでもボーイング(BA)が4%を超える下落となったほか、ウォルト・ディズニー(DIS)とアップル(AAPL)、ビザ(V)、ゴールドマン・サックス(GS)、ナイキ(NKE)、アメリカン・エキスプレス(AXP)も3%以上下げ、インテル(INTC)も3%近く下落しています。ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株の下げが目立ち動画配信のネットフリックス(NFLX)が5%近く下げ、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も4%を超える下落となりました。半導体株も安くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とマイクロン・テクノロジー(MU)、エヌビディア(NVDA)も3%以上下げています。また、アリババ集団(BABA)が8%余り下げました。中国の金融規制当局がアリババ集団傘下の金融会社の新規株式公開(IPO)手続きの再開を否定したことが嫌気されました。一方でオランダ車載半導体大手のNXPセミコンダクターズ(NXPI)が韓国のサムスン電子が自動車向け半導体事業を拡充するため買収を計画していると伝わったことで4%高となっています。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%高い3.04%となりました。ドル円は134円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。今晩に米消費者物価指数の発表を控え様子見となりやすいなかで日経平均が200日移動平均線(昨日時点で27,942円)を維持できるかがポイントとなりそうです。また、本日は3ヶ月に一度のメジャーSQで寄り付きの動向も注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)