基本的に米国株の最悪期は過ぎた。それを顕著に示したのが、先週のADP雇用統計が予想を下回る弱い結果となっても、それでFRBのタカ派姿勢が緩和されるとの思惑で株式市場が大幅高で反応したことである。つまり、悪い結果にも良いところを見出そうとする(良く言えば)ポジティブ思考、(悪く言えば)いいとこ取りができるようになったということである。

その背景は売り方の買い戻しに過ぎないとの見方が大勢を占める。しかし、売り方に買い戻しを迫るほど状況が改善したのは事実だ。

日経平均も戻り売りをこなして2万7500円の節目をあっさり超えた。7兆円と推定される3月末配当金の再投資に対する先回り買いに加え、企業の自社株買いなど需給が改善している。

今週の大きなイベントは米国の5月CPI(消費者物価指数)発表(10日)である。市場予想はコアで前年同月比5.9%の上昇。前回、4月CPIはコアで6.2%増と8カ月ぶりに伸びが鈍化した。今回のCPIが市場予想の範囲に収まれば連続して伸びが鈍化する傾向が確認され市場の強い支援材料となるだろう。

そのCPI発表を夜に控える10日は日本市場のメジャーSQだ。CPI発表を控えて大半の投資家が様子見姿勢で動けないことが明々白々なだけに投機筋に売り仕掛けを狙われやすいことには注意が必要である。

その他の予定では、6日にアップルの開発者会議(WWDC)、8日に5月の景気ウォッチャー調査、9日にECB定例理事会、10日に中国の5月PPI、中国5月CPIなどが予定されている。この中で注目は景気ウォッチャー調査だ。コロナ規制が緩和され街に人出が戻った5月のデパートやアパレルの売上は軒並み好調な内容となった。街角景気の改善を期待したい。