東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて反発しました。246円高の27,660円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで362円高の27,776円まで上昇した後10時30分前に200円高の27,614円まで上げ幅を縮めましたが、前引けにかけて持ち直すと299円高の27,713円で前場を終えました。290円高の27,704円でスタートした後場の日経平均は13時30分過ぎに358円高の27,772円まで上昇するとその後も高値圏で推移し結局347円高の27,761円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

5月の既存店売上高が好調だった小売り企業に大きく上げるものが目立ちました。ファーストリテイリング(9983)がゴールデンウイーク商戦や感謝祭セールが盛況で外出用の単価の高い商品が伸びたことなどからユニクロの5月の国内既存店売上高が前年同月比で17.5%増となったことで5.9%高となり日経平均を130円押し上げたほか、カジュアル衣料大手のアダストリア(2685)も夏向けに速乾機能をつけた定番のカラーパンツが売り上げをけん引したことなどから5月の既存店売上高が前年同月比で31.9%増となったことで3.7%高となり年初来高値を更新しました。ユナイテッドアローズ(7606)も前年の緊急事態宣言の反動で5月の既存店売上高が前年同月比41.1%増となったことで7.9%高となり年初来高値を更新したうえ、エービーシー・マート(2670)もファッションビルやショッピングセンター、アウトレットモールなどでの売上が好調に推移したことなどで5月の既存店売上高が前年同月比10.1%増となったことから6.0%高となり年初来高値を更新しました。良品計画(7453)も良品週間を実施した効果もあり5月の既存店売上高が前年同月比で12.4%増となったことから3.9%高となっています。

また、ヤフーやLINEを傘下に持つZホールディングス(4689)も5.1%高となりました。5000億円を上限とする社債の発行登録枠を設定し、発行登録書に予定する資金使途の一つとして自己株式の取得資金に充当との記載があったことで自社株買いを期待した買いが入りました。

一方でカプコン(9697)が6.1%安となりました。バイオハザードの新しいソフトを発売すると発表しましたが、株価が高値圏にあったこともあり目先の材料出尽くしとなりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は347円高となりました。ADP全米雇用リポートで雇用者数が市場予想を大きく下回ったことで金融引き締めへの警戒感が後退し昨日の米国市場が大幅反発となったことで買いが優勢となりました。節目の27,500円や4月21日に付けた戻り高値(27,553円)を超えて上げ幅を広げ2021年9月に付けた高値から2022年3月の安値の半値戻し(27,694円)を達成しました。そのため先高期待が高まりそうで今晩の米雇用統計の結果次第では週明けにも200日移動平均線(27,940円)を試すような展開が期待されますが、3月には200日移動平均線で上値が押さえられるとその後5月に26,000円割れまで調整したこともあるだけに仮にそのような展開となった場合には200日移動平均線を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、5月の米雇用統計は日本時間の21時30分に発表されますが非農業部門雇用者数などに加えて平均時給の伸びなどにも注目が集まりそうです。また、23時には5月の米ISM非製造業景況感指数の発表も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)