【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 32,245.70  ▼653.67 (5/9)
NASDAQ: 11,623.25  ▼521.41 (5/9)

1.概況

米国市場はインフレや米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めを警戒した売りが続いたことや、中国の4月の貿易統計で輸出が大幅に鈍化したことで中国景気の減速を懸念した売りも出て大幅に3日続落となり、主要3指数が揃って年初来安値を更新しました。214ドル安でスタートしたダウ平均は昼前に650ドル安余りまで下落した後一旦下げ渋りましたが、軟調に推移すると取引終盤に一段安となり777ドル安まで下落しました。その後引けにかけてやや持ち直したダウ平均ですが結局653ドル安の32,245ドルで取引を終え3月8日に付けた年初来安値(32,632ドル)を更新しています。また、S&P500株価指数も132ポイント安の3,991ポイントと節目の4,000ポイントを割り込み先週末に続いて年初来安値を更新したほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も521ポイント安の11,623ポイントとなりこちらも先週末に続いて年初来安値を付けています。

2.経済指標等

3月の米卸売在庫は前月比2.3%増となり市場予想と一致しました。また、米卸売売上高は前月比1.7%増となっています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち生活必需品を除く10業種が下げました。そのなかでもエネルギーが8%を超える下落となり、不動産と一般消費財・サービスも4%以上下げています。また、情報技術も4%近く下落しています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が下げました。そのなかでも中国景気の減速懸念からボーイング(BA)が10%余り下落したほか、シェブロン(CVX)も原油価格の下落を受けて6%以上下げました。ビザ(V)も5%近く下落し、キャタピラー(CAT)とマイクロソフト(MSFT)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、セールスフォース・ドットコム(CRM)、アップル(AAPL)、ウォルト・ディズニー(DIS)も3%以上下げています。一方でスリーエム(MMM)が2%近く上昇し、ウォルマート(WMT)とアムジェン(AMGN)も1%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外では主力ハイテク株の下げが目立ち電気自動車のテスラ(TSLA)が9%余り下落し、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も5%以上下げました。動画配信のネットフリックス(NFLX)も4%を上回る下落となり、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)も3%を超える下げとなっています。また、配車サービス大手のウーバーテクノロジーズ(UBER)がコストや採用を減らし収益性や財務基盤の安定を重視する方針を明らかにしたことで経営環境の厳しさを懸念した売りが出て11%を超える下落となっています。

さらに半導体株も安くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とエヌビディア(NVDA)が9%を上回る下落となり、ウエスタンデジタル(WDC)も5%近く下げています。クアルコム(QCOM)も4%安となり、マイクロン・テクノロジー(MU)も3%以上下げています。米商務省が米企業が先進的な半導体製造装置を中国企業に販売するのを禁止することを検討していると伝わったことでアプライドマテリアルズ(AMAT)やラムリサーチ(LRCX)、KLA(KLAC)も安く、アプライドマテリアルズとラムリサーチが6%以上下げ、KLAも4%近く下落しています。

5.為替・金利等

長期金利は0.11%低い3.03%となりました。ドル円は130円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の26,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)