S&P500は先週5月2日の月曜日には4,062.51ポイントへと下落、2022年に入っての最安値を更新したものの、週末までには若干戻り0.21%の下落し4,123.43ポイントで引け1週間を終えました。先週のナスダック総合は1.54%下げて終値は12,144.66ドル。

米国の企業業績は堅調だが、利上げ・金利上昇・リセッションへの懸念が足かせに

米国の第1四半期の決算発表については、現時点でS&P500に採用されている500社のうち436社が決算発表を終えています。4月初めの段階では前年比5.73%の増益予想でしたが、現時点での結果は9.30%の増益という事前予想を上回っています。折角の企業業績の堅調さを相殺しているのは、FRBによる今後の利上げへの懸念、金利の急上昇、リセッションへの懸念が挙げられます。

現在の投資家のセンチメントは最悪であり、株価の動きは日替わりメニューのように非常に乱高下するというボラティリティの高い日が続いています。まさに先週の5月3日(水)と5月4日(木)の対照的なマーケットの動きが良い例です。

5月4日のFOMCにおけるパウエル議長の利上げ発表は市場に安堵感を与え、S&P500は1日で2.99%、ナスダック総合は3.19%それぞれ上昇。ところがその翌日のS&P500は3.56%、ナスダック総合は4.99%とそれぞれ下落に転じ、前日の上昇分を完全に打ち消し下落しました。

これまでの金利の急上昇は、債券が売られ過ぎであることをも意味する

今マーケットが一番嫌がっているのは米国10年債利回りの急上昇です。2021年12月末に1.5101%だった10年債利回りは、先週木曜日には3.0365%へと3%の大台を超え引け、翌金曜日には3.1265%へ上昇して終わりました。2021年末から約5ヶ月で金利のレベルは倍となりましたが、これは2018年10月来の高いレベルです。

金利上昇の局面でも株価が上がることは歴史が証明していますが、現在の不透明感の強いなかでの金利のあまりにも急に上がること、これを現在のマーケットは嫌っています。

今週水曜日発表のCPIでインフレがピークを付けたのかを見極める

マーケットの次のフォーカスは、今週水曜日(5月11日)に発表される予定のインフレ指数である消費者物価指数(CPI)です。4月に発表された3月のCPIは前年比で8.5%と1981年12月来のピークを付け市場を驚かせました。今回の4月分についてのマーケットの予想は8.1%増と前回より若干低い見通しとなっています。

今回注目されるのはインフレについては、前回の8.5%で今回のインフレサイクルのピークを付けたかのかを確認、またそのピークからどの位下がっているのかの確認が必要です。CPIの7.5%相当を占めるエネルギー価格については、3月の高値から4月は下落していることもあり、前回よりCPIは低いだろうという見方が織り込み済みだと考えられますので、どの位前回より下がるのかが焦点となるでしょう。

CPIは株価にとって応援材料になるか

今回CPIが事前予想を上回る数字が出ると金利はさらに上昇する展開となるのでしょうが、その逆も然りです。米10年債は利回りの上昇でかなりオーバーソールド(売られ過ぎ)の状況にあります。現在のマーケットのセンチメントはあまりにも悲観的であり、弱気派が支配しています。楽観的に考えると、万が一マーケットがインフレはピークと付けたと判断する内容であれば、米10年債の利回りは下落、債券価格は上昇する可能性が高いと考えられます。そうすると、それは株価にとっては大きな応援材料となるでしょう。

尚、現時点でのS&P500の上値抵抗線は4,308ポイント、一方、下値抵抗線は4,114〜4,062ポイントです。このレベルを切ってしまうと次は4,000〜3,800ポイントが視野に入ってきます。