【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 34,792.76 ▼368.03 (4/21)
NASDAQ: 13,174.65 ▼278.41 (4/21)
1.概況
米国市場は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が午後に参加した討論会で5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍の0.5%の利上げを検討していると発言したうえに、もう少し速いペースで動くことが適切だと述べたこともあって金融引き締めを警戒した売りが出て下落となりました。98ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に331ドル高まで上昇しましたが、その後伸び悩み上げ幅を縮めるとパウエルFRB議長の発言を受けて昼過ぎにマイナスに転じ下げ幅を大きく広げました。取引終盤に436ドル安まで下落したダウ平均は引けにかけてやや戻したものの結局368ドル安の34,792ドルで取引を終え3日ぶりに反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も278ポイント安の13,174ポイントと続落となりました。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2000件減の18万4000件となりましたが市場予想ほど改善しませんでした。4月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数も17.6と前月から低下し市場予想を下回りました。また、3月の米景気先行指標総合指数は前月比0.3%上昇し市場予想と一致しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもエネルギーが3%を超える下落となり、コミュニケーション・サービスも2%以上下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではセールスフォース・ドットコム(CRM)が5%近く下げたほか、シェブロン(CVX)も4%を超える下落となりました。ウォルト・ディズニー(DIS)も2%以上下げ、ゴールドマン・サックス(GS)とマイクロソフト(MSFT)も2%近く下落しています。一方で決算が市場予想を上回ったダウ(DOW)が3%近く上げ、IBM(IBM)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)も1%以上上昇しています。
ダウ平均構成銘柄以外では、電気自動車のテスラ(TSLA)が決算が市場予想を上回る増収増益となったことで3%を上回る上昇となりました。AT&T(T)も決算で1株利益が市場予想を上回ったことで4%高となっています。また、旅客需要の回復で2022年4-6月期に黒字化する見通しを示したユナイテッド航空ホールディングス(UAL)やアメリカン航空グループ(AAL)が高く、ユナイテッド航空ホールディングスが9%を超える上昇となり、アメリカン航空グループも4%近く上げています。
主力ハイテク株は長期金利の上昇を受けて下落が目立ちフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)が6%余り下げ、アマゾン・ドット・コム(AMZN)と動画配信のネットフリックス(NFLX)も3%を超える下落となっています。さらに半導体株も安くエヌビディア(NVDA)が6%安となり、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も4%を超える下落となりました。マイクロン・テクノロジー(MU)とクアルコム(QCOM)も3%以上下げています。
5.為替・金利等
長期金利はパウエルFRB議長の発言を受けて金融引き締めのペースが加速するとの見方が強まり0.08%高い2.91%となりました。ドル円は128円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が75日移動平均線(昨日時点で27,176円)を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)