>> >>投資先は長期と短期で分けて管理、今注目のセクターは?【前編】

ウクライナ情勢よりもFRBの動向を注視

――ウクライナ情勢の状況を受け、投資戦略を変更されましたか?

今は資金管理が大切な局面と捉えています。このところまた市場の動きが激しくなっていますが、焦らず沈静化するのを待っています。私自身はウクライナ情勢よりも利上げの方に目が向いていて、昨年からFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げを意識していました。

重要なのは米国の金融政策で、これが変わるなら投資方針も変えないといけないという考えです。今年に入って一時的に保有株を2銘柄に絞っていた時期があり、ロシアのウクライナ侵攻が始まったのはそうしたタイミングでした。ただ、ウクライナ危機は結局インフレにつながり、それによって利上げ圧力が強まります。そこで中央銀行がどう動くかが問題です。

ボラティリティに耐えるのではなく、逃げる。メンタルより重要なのは資金管理

――では、当面はどのような投資戦略をお考えですか?

今のようにボラティリティの大きい相場に入っていくと、戻り売りでやられる可能性があります。私自身、落ち着いた相場の方が性に合っています。また、投資情報を発信しているのでよく分かるのですが、投資家の大半は中長期投資志向です。それなら、もっと静かな相場で勝負した方が、負ける確率が少ないと思うわけです。

デイトレではなく時間を味方につけた方が勝率が上がると考えています。ですから、私は基本的には右肩上がりの市場に投資したいと考えていて、それが私の米国株投資戦略の基本でもあります。今のように凸凹した相場でなく、明確に上昇軌道に乗ってから投資をしたいと思っています。

――急なマーケット変動にはどのように対応されていますか。

よく投資はメンタルだと言われますが、私はそうではないと考えています。メンタルは鍛えられないわけではありませんが、そこまでして投資する必要はないように思います。メンタルを鍛えるくらいなら、ボラティリティ相場から避難すれば良いのではないでしょうか。ボラティリティに耐えるのではなく、ボラティリティから逃げるのです。相場の変動が大きい時期は、「休むも相場」で動かずに収まるのを待つというのが私の投資方針です。逃げる時は逃げてナンピン(下がっているところでの買い増し)はしない。そして、メンタルよりも資金管理が重要だと思います。

「米国経済が強い」と考える理由

――ともさんの米国市場の長期的な見通しをお聞かせください。

今のメインシナリオは、目先は景気後退局面入りして1~2年は株価が低迷するかもしれないけれど、長期的には上昇基調に戻るというものです。こういう時期は時間を分散しながらコツコツ買っていくのが大事ですから、積立は継続しています。

私が「米国経済が強い」と考える理由は、人口が増え続けていて、企業には稼ぐ力があり、米国人は日本人とメンタリティが違って本質的に消費に積極的である――といった背景があると考えているからです。こうした状況が変わらない限り、米国経済は強いでしょう。世界経済が弱含みの時に一番弱くないのが米国であり、回復基調にある時に真っ先に良くなるのも米国です。割安という観点からは他国の株に勝てないかもしれませんが、10~20年といった長期で検討するなら米国が良いのではないかと考えています。

――今後の投資・資産運用の目標などをお教えください。

資産はまだ億に届いていないので、早く億越えを果たしたいですね。さらに、株式だけでなく、不動産や自分の本業や副業、家族の収入なども含めた総資産を増やしていきたいと考えています。当面は1億円が目標ですが、将来的には3億円とか5億円とか、資産全体を底上げして、家族で不自由なく暮らしていけたらいいなと思います。

――最後に、20~30代の方にメッセージをお願いします。

今の20~30代の日本人には、内弁慶というか、国内にしか目が行っていない人が多い印象があります。実際のところ、海外勤務は避けたいとか、異文化のコミュニティに入っていくのは苦手だというビジネスパーソンの話をよく聞きます。

私が最初に海外に興味を持ったのは15歳の時で、その頃、家族で母の友人が住んでいた欧州に旅行する機会がありました。湖が見えるその方の家の庭にはプールもあり、そこに大勢の人を招いて開かれたホームパーティは中学生の私にとってはまさに異文化体験でした。それを機に英語を学んだり、長じてFXをしたり、米国に旅行したり住んでみたりするようになり、やがて米国企業にも興味を持ち、米国株投資を始めたわけです。
マーケットを含め、ボーダレス化が進む今の時代こそ、もっと海外に目を向けてほしいと思います。

――ありがとうございました。

※本インタビューは2022年3月23日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。