GAFA企業に勤務しながら資産形成し、2021年11月にFIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成したばかりのロジャーパパさん。投資を始めた頃は金融に関する知識が全くなかったと話します。そんなロジャーパパさんが試行錯誤しながら見出した企業分析をする上での確認ポイント、FIRE生活での新たな気づき、投資における思考法などを聞きました。

●ロジャーパパさんプロフィール●
44歳。起業家YouTuber。GAFA企業での勤続9年を経て、2021年11月よりFIRE生活をスタート。米国株投資の実績や銘柄紹介、投資戦略などを、分かりやすく配信するYouTubeチャネル「ロジャーパパ米国株投資」は総再生回数800万再生を突破。2歳と5歳の2児の父。海外移住を計画中。

投資を始めたきっかけは勝間和代さん著『お金は銀行に預けるな』

――ロジャーパパさんが投資を始めたきっかけを教えてください。

2008年に本屋さんで勝間和代さんの新書『お金は銀行に預けるな』を手に取ったことがきっかけです。その中に「株式投資は年利4%のリターンが見込める場合がある」と書かれてあり、「そのリターンは凄いな」と感じて日本株の投資を始めました。

私は以前、大学生の頃、1年だけパチスロにハマって400万円ほど得たことがあるのですが、目押し(回転するリールの特定の絵柄を有効ラインに狙い撃ちすること)で当たりを出すために1日13時間も費やすのはもったいないと思ってやめたことがありました。でも株式投資をすればもっと効率的にお金を増やせるかもしれない…と感じて、トヨタ自動車(7203)、伊藤忠商事(8001)、武田薬品工業(4502)などの株式投資を始めました。

当時、リーマンショックで底値だったことから、その後日本株が上昇して6、7年で1500~1600万円を利益確定しました。

――個別株投資から始められたのですね。

そうなんです。勝間さんの書籍ではインデックス投資が紹介されていたにも関わらず、株式投資と言えば個別株だと思い込んでいて。当時はそれぐらい投資に関する知識がなかったのです。

米国株はETFと超優良配当株に投資

――その後、投資対象を米国株に広げた理由を教えてください。

日本株の上昇が停滞しはじめた2016年頃に、含み損が出てきてしまいましたが、どう対処するべきかわからず…。「このままじゃいけないな」と思って、YouTubeや書籍で勉強を始めました。

そんな中、マネー誌で日本株と比べて米国株がいかに上昇しているかを知り、米国株投資に興味を持ちました。そして、長期分散投資の重要性を学び、米主要株価指数のS&P500に連動するETFに投資しました。1株買うだけで、米国のトップ500社に分散投資できて配当金も出るので。ほかにも全米の株式市場全体のパフォーマンスに連動するETFを保有しており、これらのETFへの投資がポートフォリオの大部分を占めています。

また、米国の個別株としては、50年以上連続で増配しているプロクター・アンド・ギャンブル(PG)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)などを投資対象として検討しています。

私が米国株投資を始めた当時GAFA企業に勤務しており、RSU(譲渡制限株式ユニット)という制度で入社時に株式が付与されていたので、自社株で(米国株の)株価上昇を実感していました。しかし投資対象という観点では考えが及んでいなかったので、もう少し早く気づけばよかったと後悔しています。

――米国株への投資の考え方を教えてください。

私は資金を「減らしたくないお金(コア)」と「積極的に増やすお金(サテライト)」に分けて運用しています。先ほど申し上げたETFなどコアの部分(8~9割)として長期的に積み立てていて、その他のサテライトの部分は2つに分けて考えています。

サテライトの1つはある程度、長期的な目線で投資しており、その中には新興国の株式市場の動きに連動するETFや米国の債券市場に連動するETFなどを投資対象として考えています。これらは防御力としてポートフォリオに組み込んでいるので、下落局面でも下がりにくく、下がっても回復力が高いと考えています。

もう1つのサテライトの部分では短期的に頻繁に売買しています。今はエネルギー関連のセクターのバリュー株がこの部分に多く含まれています。短期トレードでは決算発表が非常に重要だと考えているので、マネックス証券の米国株銘柄スカウターの決算発表日の表示や決算フラッシュの情報を活用しています。

――コアの部分でETFをメインに投資しているのは何故ですか。

ETFは経費率(コスト)が安いですし、ETFを使いこなせると株式、債券、コモディティなど様々な資産クラスに分散しながら資産形成できます。私自身はETFが気に入っていますが、投資未経験者の方は100円から積立ができる投資信託の方が始めやすいかもしれませんね。

――ポートフォリオの配分を教えてください。

株式資産全体で見ると、およそですが米国株・ETFが85%、外国債券が10%、金などコモディティが5%ぐらいです。

今は少し現金を多めに保有しています。妻と2人の子ども合わせて家族4人のNISA口座を開設していて、例年、年明けには非課税投資枠を使って400万円を追加投資していますが、今年はまだ様子を見ているところです。米国の政策金利の引き上げの影響が落ち着いた頃に投資するのが良いのではないかと考えています。

マクロとミクロ両方の視点で投資先を判断

――個別銘柄を確認する視点を教えてください。

中長期的に保有するつもりで取引する個別銘柄については、企業の決算内容(売上高、純利益、EPS、ガイダンス)だけでなく市場全体の流れを見ています。例えば、今ですと米国の政策金利の引き上げが、今後企業にどのように影響を及ぶすかといったところなどを注目しています。このようにマクロとミクロ両方を見て、株価が上がりそうな銘柄かどうかを判断します。

――複合的な観点で投資先を判断するということでしょうか。

はい。その他にも、入社した企業で付与された株式がテンバガーになった経験から、自分が実際に投資先に関わってみることも大事だなと思いました。そのことから、投資先の企業の商品やサービスを使ってみるようにしています。

マクロとミクロ両方を見つつ、実際に投資先のサービスに関わった上で投資すれば、たとえ株価が下がったとしても、「なぜ下がったのか」ということを分析できると思います。そこで学びを得て、次の投資に活かしていくことが大事ですだと思っています。

>> >>投資における情報収集法と株価下落時の心構え【後編】

※本インタビューは2022年2月9日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。