6月17日(日)に実施されたギリシャ再選挙の結果は比較的穏やかな結果に終わり、とりあえず一息つけたところですが、中国の方では、性急な緩和策や景気刺激策が採られたわけではありませんが、地道に、しかし着々と金融改革が進んでいます。先週のニュースの中で大きかったのは中国国内保険会社の投資対象を拡大する法案を中国保険監督管理委員会(CIRC)が策定中であるというものです。中国国内の新聞報道によれば、保険資金管理会社12社の合計資産は6兆元を越える規模であり、これらの資金について、国内外での信用取引、空売り、及びデリバティブ取引を認める(※但し、デリバティブ取引は、ヘッジ目的の株価指数および債券先物取引のみに限定され、投資目的の取引は認められない。)、また、不動産や株式への投資額を増やすことも認められるというものです。

またマネーサプライについてもプラスのニュースが出ています。2012年5月末時点における中国のM2(マネーサプライ)は前年同期比で13.2%増となり、4月末の12.8%増から加速したとのこと(市場予想は12.7%増で成長率は小幅に減速する予想でした)。そして、5月の人民元建て新規融資は7,932億元となり、4月の6,820億元から増加したほか、こちらも市場予想の7,500億元前後も上回る内容でした。この融資統計を見る限り、中国の金融緩和が徐々に効いてきている可能性が高いように思われます。前回書いたように6月には金利引き下げもありましたから、融資は一層拡大する可能性があります。

ハンセン中国企業株か指数(H株指数)のチャートを見ると、9,500ポイント前後で底を這う形の横ばいが続いておりましたが、短期的にはギリシャ選挙の穏健的通過により、リスク資産への資金移動で、まずは200日移動平均線までの反発が期待できるところです。もっとも、中国政府は目先の性急な金融緩和や景気対策ではなく、長期的な体制改革を続けていますし、欧州危機が深刻化しなかっただけに海外要因としてもQE3といったカンフル剤が出る可能性は低くなったように見えますので、200日移動平均線を越えて大きく株価が上昇していくかというと難しいところと思います。しかし、中国政府の長期的な体制改革はいずれ評価されても良いものと思われますし、秋には政権交代があって一定の経済対策が出ることも期待できますので夏場ぐらいまではもやもやした相場展開が続く可能性がありますが、秋口頃からは強い基調に戻れることも期待できると思います。