与えられた命を全うするまでの間には、どうしても介護を必要とする期間が発生する場合が多いものです。実際に介護が必要になると、介護を受ける側も介護する側も費用面や精神面で戸惑うことがあるでしょうか。そのため、これまでの記事では、早いうちから対策をとり、介護への不安を和らげられるよう介護費用の目安や公的介護保険の活用、財産管理方法などをご紹介してきました。今回は、親子で力を合わせて介護期に向き合うために、今すぐにでも取りかかれることをお伝えしたいと思います。

親子一緒に確認しておきたいポイント

以前の記事で介護に対する話し合いができていない親子が多いことをお伝えしました。介護期をその人らしく生きるためにも、家族で介護について話し合い、意識を共有しておくことが何より大切なことだと思います。

とは言え、いざ話をするとなると、お互いに遠慮してしまうせいか、聞きたかったこと(言いたかったこと)が聞けなかった(言えなかった)ということもあるようです。話した内容を決定事項とするのではなく、今現在の気持ちや考えを伝える(聞く)という気持ちで話し合うと、継続したコミュニケーションにつながるでしょう。以下、話し合いの際に確認しておきたい4つのポイントをご紹介します。

(1)介護に関する親の希望

まず確認しておきたいのが、介護期をどこで過ごしたいか、どのようなサポートを受けたいかなど親本人の希望です。希望がわかれば介護環境を整えるための準備がしやすくなります。

例えば、設備が充実した施設で過ごしたいと施設入居を希望する場合、候補となる施設を調べ、費用の準備を進めることになります。以前の記事で介護費用の平均額をお伝えしましたが、施設介護は在宅介護よりも多額になる場合が多いため、より費用の準備が必要になるでしょう。

また、住み慣れた自宅で家族と一緒に過ごしたいと在宅介護を希望しているのであれば、手すりやスロープなどの福祉用具の取り付けやリフォームが必要となる場所を検討しやすくなります。その他、医療機関への送り迎えや手助のための交通費など日常的にかかる費用の事前対策がとりやすくなるでしょう。

(2)財産管理に関する親の希望

親の財産管理について「判断能力がしっかりしているうちは親自身で財産管理してもらいたい」とか、「親がうっかり使いすぎても困るし、先々心配だから家族に管理を託してほしい」など、様々な意向があるでしょう。親の希望を聞いて認識を合わせておきたいポイントです。もし親が家族に財産管理を託したいと希望する場合は、いつ頃から、誰に託すのかなども話し合っておくと良いでしょう。

なお、財産管理だけに限りませんが、サポートをお願いする人・される人の当人同士だけではなく、家族全員で意識を共有しておくことも大切です。

(3)親の貯蓄状況

介護が必要になると、施設の入居やリフォームなど、様々な費用の支払いが必要になります。そのため、事前に親の貯蓄状況を確認しておくことも大切です。

(4)民間介護保険の加入有無

親が民間の介護保険に加入している場合、加入している保険会社や契約内容も確認しておきましょう。民間介護保険は商品ごとに保険金・給付金の支払い条件が定められていますので、事前に調べておくことができます。そうすると、いざ請求する際にスムーズに手続きを進められるでしょう。

親が準備した介護費用を子どもが支払えるように

前回の記事で子世代が親の介護費用を負担せざるを得ない場合があることをお伝えしました。しかし、子世代は自身の子どもの教育費や住居費(住宅購入資金準備)、老後資金などに備えて自身の資産形成を進めていくことも大切です。そのため、親自身が準備したお金で子どもが介護費用を支払えるようにしておくと安心です。

親自身が財産管理したいと思っていても、自分で金融機関に出向けなくなったり、判断能力が劣ったりして口座内の資金を動かせなくなる(金融機関の口座が凍結される)場合もあります。

原則として、金融機関は名義人本人以外の第3者からの申し出に応じることはできませんが、最近では、家族が出金できる介護対策向けのサービスを提供する金融機関も増えてきています。以前の記事でお伝えした通り、対象とする財産は金銭だけでなく、株式等の有価証券を対象とする信託もあります。

このようなサービスを利用すると、基本的には親自身が自分の財産管理や資産運用を行いつつも、後に自分で管理できなくなった時に口座が凍結されることなく、あらかじめ指定しておいた代理人に管理を託すことができます。いつ訪れるかわからない介護への不安が軽減され、金銭面での対応もスムーズにできるのではないでしょうか。また、指定された代理人以外の家族に管理状況を知らせしてくれるサービスを提供しているところもあります。親の財産状況を家族で共有できると、さらなる安心につながるでしょう。

今回、親子で介護について話し合うポイントや財産管理方法などをご紹介しました。親の希望を尊重した介護の実現に向けて今すぐにでも取りかかれる内容だと思います。いつ介護が必要となる事態が訪れても慌てなくて済むように、早いうちから家族が安心・納得できる円満な介護準備を進めていただければ幸いです。