ウクライナ情勢はさらに混沌とした状況になっています。米欧はロシアへの追加の制裁措置としてロシアの銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除すると発表しました。

今後ロシア企業は、輸出入における取引などが困難となり、世界経済のバランスに大きな影響をもたらす可能性も高まると思います。特に欧州は天然ガスなどロシアへの依存度が高いため、中期的に欧州経済の低迷は避けられないでしょう。

ロシアによるウクライナ侵攻によって欧州におけるプーチン大統領への信頼は損なわれました。今後、欧州はロシアに対し、経済協力関係を希薄化する方向に舵を切っていくことでしょう。プーチン政権が倒れない限り、この状況は続きそうです。

ロシアがウクライナに侵攻したことは、ロシア国民にも被害を及ぼすと思います。例えばロシア国民が海外に居住した場合、資産を移す手段がなくなることも考えられます。

このような状況下で、BTC(ビットコイン)などの暗号資産への注目が高まっています。ウクライナ政府がツイッターでBTCやETH(イーサリアム)での寄付を呼びかけたところ、既に約490万ドルが集まったと報じられています。

こういった背景を踏まえると、金融市場は短期的にはベアですが、BTCの需要は高まっていくのではないかと私は考えています。

今週もBTCから相場分析していきましょう。

BTC(ビットコイン)は水平線とSMA30ゾーンを意識する展開

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

トレンドラインを右方向に抜けて反転相場が意識されましたが、現在は軟調に推移しています。

先週、一時400万円を割り込みましたが、そこから自律反発し、底堅さを示している状況です。テクニカル的には、MACDが0.00ラインで推移しており、動き出した方向にトレンドが出やすい状況にあります。

SMA30を超えてきますと、再び上昇トレンドへの回帰が期待できると思います。その上値を超えてから浅い押し目買いで入っていくと良いかもしれません。先週はこのSMA30に上値を阻まれました。引き続きこのラインとのせめぎ合いが続くと予想します。

今週は日足サポートラインである375万円からレジスタンスとして機能しているSMA30のゾーンで推移すると予想します。

ただし、2月27日、プーチン大統領が核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じたという報道もあり、例外的な相場の値動きも考えられます。急な値動きに注意しながら、資金を管理していきたいところです。

トレンドラインからまだ距離があるETH(イーサリアム)

【図表2】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いて、ETH/JPY日足分析です。

今週も下降トレンドラインを右方向に抜けてきていません。

リスクオフ相場において、暗号資産の中で本質的な価値として評価が高いBTCへの資金回帰が予想されます。ですから、アルトコインの上値が重い状況に変わりないでしょう。

またテクニカル的にも、SMA30が効いており、上値をしっかり抑え込まれている現状にあります。

今週も現状水準ではエントリーを見送り、さらなる下値からのエントリーを準備しておいたほうが得策でしょう。

有事の場合、急落で想像もしていなかったポイントに買い指値注文が約定することも考えられます。ですので、19万円や20万円付近の2021年の安値付近手前から注文を入れておくのも選択肢の1つかもしれせん。

今週もETHトレードは見送る方向で、BTC中心のトレード戦略をお伝えしました。リスクを抑えながら中長期的な目線で投資資金を分散していきたいところです。