上海総合指数は世界的な株価下落の影響も

2022年2月前半の中国株は、旧正月期間の連休を挟んでの取引となりましたが、中国本土市場・香港市場共に上昇となっています。2021年1月28日終値から2022年2月14日終値までの騰落率は、上海総合指数が+2.0%、香港ハンセン指数が+4.3%です。

上海総合指数は旧正月明けの2月7日から大きく上昇し、4営業日上昇となりましたが、2月11日に長い上ひげをつけて反落すると、ウクライナ問題や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めへの懸念から世界的に株価が下落した影響を受けて、2月14日は大きく下落しています。

株価は50日移動平均線、200日移動平均線の下を推移している状況で、2月前半は上昇してはいるもののまだまだ弱い株価推移が続いている状況といえるでしょう。

一方、香港ハンセン指数も旧正月明けから上昇してきています。こちらは弱い推移が続いているものの、2021年末から年始にかけて底を打っているようなチャートで、逆三尊に近いような株価推移にも見えます。

株価も50日移動平均線、100日移動平均線を上抜けてきており、50日移動平均線の向きも上向きになってきました。ここから株価が200日移動平均線に向けて上昇していくかどうかを試すところです。

エネルギーや金融セクターが大幅に上昇

2月上旬にセクター別で大幅に上昇しているのはエネルギーセクターや金融セクターです。米国でインフレが進行し、資源価格と長期金利が上昇していることがその背景にあります。

たとえば、平安保険(02318)は長らく底を這うような株価推移が続いていたのですが、株価は50日移動平均線、200日移動平均線を共に上抜けてきています。その上、50日移動平均線も上向きとなって、このままいけば200日移動平均線を50日移動平均線が上に突き抜けるゴールデンクロスが視野に入りそうです。

また、原油価格上昇の恩恵を大きく受ける中国海洋石油(00883)は大幅に上昇しており、2月14日終値までの年初来騰落率は+24%にもなっています。その他、中国移動(00941)といった大型バリュー株が全般的に堅調で、2021年まで相場を牽引してきたグロース株から割安バリュー株への資金シフトが続いている様子もうかがえます。

ウクライナの地政学リスクで下落したところは優良株の買いチャンスにも

2月上旬に発表された中国経済指標に、1月のマネーサプライ(M2)と新規人民元建て融資額があります。

マネーサプライ(M2)は前年同月比9.8%増(前月実績9.0%増、市場予想9.2%増)、新規人民元建て融資額が3兆9,800億元(前月実績1兆1,318億元、市場予想3兆7,000億元)となっています。いずれも市場予想・前月実績を超える結果となっていて、中国当局が景気に配慮して金融緩和を進めている様子がうかがえます。

中国はこれまで積極的な金融緩和や財政投資を行ってこなかったために、米国と異なりインフレ率が低く、2021年12月の消費者物価指数は前年同月比1.5%増と、米国に比べるとかなりの低水準です。したがって、ここからインフレを気にせず金融緩和が行える状況にあり、インフレに直面し、金融緩和の引き締めに転じている欧米とは真逆の立ち位置にあります。

旧正月明け後に株価が上昇してきている理由としては上記のように中国政府が景気に配慮して金融緩和を行い、今後は財政投資も行う期待感があることが挙げられます。その他にも、エネルギーセクターや金融株、バリュー株が上昇していること、旧正月期間中に欧米の株式市場が上昇したこと、前回のコラムで解説したように旧正月の長期休暇前の手仕舞い売りが終わり、旧正月明けから資金が戻ってきていることなどが理由としてあります。

足元の株価はウクライナ問題への懸念から世界的に株価が下落しているのに連動して下げています。しかしながら、欧米の株式と異なり、ここまで大きく下げてきた中国株は高値不安がないこともあり、ウクライナの地政学的なリスクによって下がったところは大きな買いのチャンスになる可能性があると思われます。