東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて4日ぶりに反落となりました。390円安の27,305円でスタートした日経平均は売り気配の銘柄が寄り付くなか下げ幅を広げ9時30分過ぎに739円安の26,956円まで下落した後下げ渋り10時過ぎに535円安の27,160円まで持ち直しましたが、上値は重く再び下げ幅を広げ11時過ぎに748円安の26,947円まで下落すると725円安の26,970円で前場を終えました。下げ幅を縮め635円安の27,060円でスタートした後場の日経平均は14時過ぎに546円安の27,149円まで戻した後引けにかけてやや下げ幅を広げると結局616円安の27,079円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は4.5%安となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表した三菱地所(8802)が4.4%高となりました。新築分譲マンションの採算が改善したうえ、オフィスビルなどの売却益も計上することなどから通期の営業利益の見通しを2450億円から2800億円に上方修正したことが好感されました。また、ロシアによるウクライナ侵攻が警戒され原油価格が大幅高となるなか石油関連銘柄が高く、資源開発大手のINPEX(1605)が6.6%高となり昨年来高値を更新したほか、石油元売り大手の出光興産(5019)も3.3%高となりました。コスモエネルギーホールディングス(5021)も第3四半期決算を発表し通期の営業利益の見通しを上方修正したこともあって10.5%高となっています。一方で原油高による原材料の価格上昇が収益を圧迫するとの懸念からブリヂストン(5108)やTOYO TIRE(5105)、横浜ゴム(5101)などが安く、ブリヂストンが8.9%安、TOYO TIREが6.6%安、横浜ゴムも4.0%安となり、TOYO TIREは昨年来安値を更新しました。

シスメックス(6869)も15.3%安となり昨年来安値を更新しました。第3四半期9カ月間累計の営業利益は前年同期比で38.9%増となりましたが、第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比で1.6%増に止まり伸び悩んだことで成長の鈍化を懸念した売りが出ました。また、東京エレクトロン(8035)が一時3.8%安となりました。第3四半期決算を発表し通期の営業利益の見通しを上方修正しましたが、米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が10日と11日の2日間で8%近く下げたことで売りが優勢となりました。レーザーテック(6920)やアドバンテスト(6857)、SCREENホールディングス(7735)も安く、レーザーテックが3.5%安、アドバンテストが3.6%安、SCREENホールディングスも2.7%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は616円安となりました。米消費者物価指数(CPI)が上振れて10日に米長期金利が2年半ぶりに2%台に乗せたことや、ロシアのウクライナ侵攻が近いとの見方が広がったことから米国市場でダウ平均が10日と11日の2日間で1,000ドル以上下げたことで大幅安となりました。そのため下値への警戒感が高まりますが、節目の27,000円近辺で底堅さをみせ27,000円を引けで維持したことから明日以降の切り返しに期待したいところです。なお、決算発表も終盤ですが本日も引け後にSMC(6273)やリクルートホールディングス(6098)、日本郵政3社などの3月決算企業に加えて、キリンホールディングス(2503)、JT(2914)、楽天グループ(4755)などの12月決算企業が決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)