東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて小幅に3日続伸となりました。165円高の27,167円で寄り付いた日経平均は10時20分前に408円高の27,410円まで上昇した後伸び悩むと11時前に94円高の27,096円まで上げ幅を縮めましたが、前引けにかけて持ち直すと192円高の27,194円で前場を終えました。
171円高の27,173円でスタートした後場の日経平均は13時10分過ぎに14円高の27,016円まで上げ幅を縮めましたが、マイナスになることなく踏み止まるとやや持ち直し結局76円高の27,078円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
セブン&アイ・ホールディングス(3382)が一時8.8%高となり上場来高値を更新しました。海外を中心に成長を見込むコンビニ事業に経営資源を集中するため不振が続いている傘下の百貨店事業会社のそごう・西武を売却する方向で最終調整に入ったと伝わったことで構造改革を期待した買いを集めました。塩野義製薬(4507)も10.3%高となりました。開発中の新型コロナウイルスの飲み薬について医薬品の審査を担う医薬品医療機器総合機構に体内のウイルス量を下げる効果を示す治験データを提出したと明らかにしたことで実用化に向けた期待が高まりました。
また、第3四半期決算を発表し通期の見通しを上方修正した銘柄に大きく上昇するものがみられ、自動車や産業機器向けに電子部品やセンサーの販売が伸びることから通期の営業利益の見通しを1570億円から1600億円に引き上げたTDK(6762)が11.2%高となり、国内で民間企業からのシステム受注が上向いていることで通期の営業利益の見通しを1200億円から1250億円に引き上げたNEC(6701)も11.0%高となりました。さらに2021年10-12月期の営業損益が緊急事態宣言の全面解除で鉄道利用が回復したことなどで8四半期ぶりに黒字となったJR東日本(9020)も5.6%高となっています。
一方で日本精工(6471)が10.7%安となり昨年来安値を更新しました。半導体の供給不足による自動車の減産や原材料価格が高騰していることが響き通期の営業利益の見通しを445億円から300億円に下方修正したことで売りが膨らみました。同じく通期の営業損益の見通しを燃料高騰などを受けて引き下げた中国電力(9504)や北陸電力(9505)、東北電力(9506)、九州電力(9508)も揃って安く、なかでも東北電力は8.4%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は76円高となりました。ハイテク株が買われ昨日の米国市場が大幅続伸となったことで買いが優勢となりました。しかし、一時400円以上も上げながら戻り待ちの売りが出て伸び悩むと小幅な上昇に止まりました。そのため上値の重さが意識されそうで、こうしたなかで決算発表などを支えにさらに戻りを試せるかがポイントとなりそうです。
なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に三越伊勢丹ホールディングス(3099)や村田製作所(6981)、キーエンス(6861)、ANAホールディングス(9202)などが決算を発表する予定です。また、1日の米国でもグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)やアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが決算発表を予定しています。さらに日本時間の2日午前零時には米ISM製造業景況感指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)