東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は昨日に大きく下げた反動で4日ぶりに大幅反発となりました。259円高の26,429円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分で466円高の26,636円まで上昇した後9時30分過ぎに119円高の26,289円まで上げ幅を縮めましたが、そこから切り返すと11時過ぎに560円高の26,731円まで上昇し549円高の26,720円で前場を終えました。

528円高の26,698円でスタートした後場の日経平均は13時20分前に478円高の26,648円までやや上げ幅を縮めた後14時30分に594円高の26,764円まで上昇すると結局547円高の26,717円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表し市場予想を上回る強気の上方修正に踏み切った銘柄に大きく上げるものがみられました。信越化学工業(4063)が米国での旺盛な住宅需要を背景に塩化ビニール樹脂の販売が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを4850億円から6750億円に引き上げたことで7.6%高となりました。

富士電機(6504)も半導体製造設備やデータセンター向けの受配電設備、電気自動車向けのパワー半導体などが好調で通期の営業利益の見通しを670億円から720億円に見直したことで10.4%高となり、野村不動産ホールディングス(3231)も個人向けのリテール事業で手数料が増えたことなどで通期の営業利益の見通しを820億円から860億円に引き上げたことから5.8%高となりました。

さらにアドバンテスト(6857)も高性能コンピューター向けの先端半導体の需要が拡大し試験装置の販売が伸びていることなどから通期の営業利益の見通しを1050億円から1150億円に上方修正したことで4.1%高となりました。

しかし、昨日の米国市場で主要な半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)指数が5%近く下げたことから他の半導体製造装置銘柄には軟調なものが目立ちました。東京エレクトロン(8035)が一時3.7%安となったほか、レーザーテック(6920)も一時7.7%安となりました。また、富士通(6702)も9.9%安となりました。半導体の不足の影響に加え、前年同期にあった特殊要因の反動が出たことなどから2021年10-12月期の営業利益が前年同期比で30.3%減の大幅な減益に転じたことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は547円高となりました。昨日の米国市場は米連邦準備理事会(FRB)が積極的に利上げすることを警戒した売りで下落となりましたが、昨日に大きく下げた反動で買いが優勢となりました。しかし、大幅反発となったものの不安定な相場が続いていることもあって下値への警戒感は依然として強いといえそうで、来週は決算発表が一段と本格化するなかでその決算発表が相場反転のきっかけとなるかがポイントとなりそうです。

なお、本日も多くの企業が決算発表を予定しており引け後にはオリエンタルランド(4661)やSCREENホールディングス(7735)、KDDI(9433)などが決算を発表する予定です。また、28日の米国でもキャタピラー(CAT)やシェブロン(CVX)などが決算発表を予定しています。さらに日本時間の22時30分には2021年12月の米個人所得と個人消費支出(PCE)が発表されるほか、29日午前零時には1月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)