世界の株式市場が不安定になってきています。今週に入ってから米国の株式市場は、日中の変動幅が大きくなり、ジェットコースターのような展開になっています。
これは、ロシア・ウクライナ情勢や米国の金融政策などリスク要因が増えて、市場が神経質に反応しやすい状態になっているのが一因です。
ハイテク株や、今までコロナ禍で恩恵を受けてきたDX関連の株式の中には、大きく下落する銘柄も目立っており、個人投資家の中には2021年に積み上げた含み益が急激に減少している人も増えています。
このような中、株式市場とこれからどのように付き合っていけば良いのでしょうか?
リスクの取りすぎに注意する
資産運用で最もやってはいけないことは、リスクの取りすぎです。2021年のような株式の上昇相場になると、リスクに対する恐怖心が弱まり、本来取るべき以上のリスクを取りがちです。
資産を1つの銘柄に集中させたり、分散させていても同じような値動きをする銘柄のみで構成していたりすると、思いもよらない大きな損失を短期間に被ることがあります。
リスクコントロールに最も有効なのは、投資対象の分散です。株式の中で銘柄分散を徹底するだけではなく、株式以外の金融資産や、不動産などの実物資産もポートフォリオに組み入れることで、資産全体の変動を抑えることができます。
リスクを取りすぎないために、分散が徹底されているか自分の資産全体の見直しをしておきましょう。
「レバナス」を買ってはいけない
また、リスクを不必要に大きくするもう1つの要因が、金融資産のレバレッジです。レバレッジとは、少ない資金で大きなリスクが取れる「てこ」のことですが、レバレッジがかかった金融資産の運用は極めて危険です。
例えば、SNS上で話題になっている通称「レバナス」と呼ばれる商品があります。これは、アメリカのナスダック100インデックスの値動きにレバレッジをかけることで、更に大きなリターンを狙う投資信託です。
ハイテク銘柄の上昇過程では、このようなハイリスクな商品のパフォーマンスが優れていましたが、下落局面では大きな損失を出す結果になります。
そもそも、このようなレバレッジ型の投資信託には長期的に保有すると効率的な運用ができないという構造上の問題があります。短期的に活用するのであればまだしも、長期運用に活用すべき商品ではありません。
ドルコスト平均法は継続する
一方で、市場に対して警戒的になったからといって、今まで続けてきた積立投資を止める必要はありません。
そもそもドルコスト平均法による積み立ては、投資のタイミングがわからないからこそ、タイミングを分散させているのです。
警戒的なマーケット環境だとしても、どのタイミングで買うのがベストかどうかは誰にもわかりません。だとすれば、同じ金額を買い続けることによって、平均的に安く買える方法を続ける方が合理的です。
NISAやつみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)のような税制優遇の仕組みを上手に使い、低コストのインデックスファンドを組み合わせることで、投資対象を分散しながら資産形成を続けることができます。
資産運用の基本は変わらない
前回のコラムでも書いたように、2022年の資産運用マーケットは、2021年に比べマイナスの要因が多く、難しい局面になると考えています。
しかし、だからといって資産運用をやめるという選択肢はありません。過去の歴史が教えてくれることは、マーケットに居続けることが最終的にベターな運用成果をもたらすということです。これはリーマンショックでもブラックマンデーでも実証されています。
相場予測をして短期的な売買を繰り返すのではなく、アセットアロケーションをしっかり決めて、投資対象の分散と投資タイミングの分散と言う「2つの分散」を徹底させることが、長期の運用成果につながります。
マーケット環境が変わっても、資産運用の基本は変える必要は無い。そのことを常に心に留めるようにしてください。