新年あけましておめでとうございます。昨年2021年は2020年に続き、新型コロナウイルスに翻弄されたマーケットとなりました。新しい年を迎え、今年2022年のマーケットのテーマとして押さえておくべきポイントをまとめてみました。
1.最大の注目点は米国の金融政策
なんといっても相場を動かす最も大きな要因と思われるのは、米国の金融政策です。
米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は、2021年12月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(資産購入の縮小)のペースを倍にすると決定し、2022年の利上げ見通しも前回の1回から3回に引き上げました。
利上げが確実視される中で、見方が分かれるのが、2022年の利上げは果たして何回実現するかです。現状の想定を超えるインフレとなれば、金利上昇懸念が一段と強まり、さらに急速な金融引き締めとなり得ます。
逆に、米国のインフレ率の上昇が想定以下に沈静化すれば、株式市場にはポジティブサプライズとなります。
当面は米国の金融政策の決定に大きな影響を与える米国のインフレと雇用のデータに一喜一憂するマーケットとなるでしょう。
2.日本の消費者物価指数は2%を超えるのか
米国とは対照的に、日本の消費者物価指数は現時点では小幅の上昇にとどまっています。日銀の金融政策に変化の兆しはありません。
しかし、今後円安や海外でのインフレの影響を受け、日本の消費者物価指数が2%を超える状況になれば、日銀による金融政策転換の懸念が出てきます。
またイールドカーブコントロールによって低位に抑えられている長期金利も、インフレの影響を受け上昇圧力を受ける可能性があります。日銀が国債の市場買い入れに慎重になって、ある程度の金利上昇を容認するようになってきているからです。
企業物価指数が消費物価の上昇にどの程度波及するか。こちらも毎月の経済データと、それを踏まえた中央銀行の政策判断に注目が集まります。
3.高まる中国・ロシアの地政学リスク
中国、ロシアと先進諸国との軍事的緊張が高まっています。
中国は、東南アジアの海洋でアセアン諸国と対立しており、米国、日本とは台湾問題もあります。
また、ロシアはウクライナに、再び軍事侵攻するのではないかと懸念されています。
どちらも短期的に軍事衝突するリスクは低いと予想しますが、地政学的リスクの高まりは経済的な対立に発展するため、世界経済にとってはマイナスの影響です。
4.コモディティ価格の上昇も波乱要因
世界的なインフレの原因の1つがエネルギーを始めとする商品価格の上昇です。
原油や天然ガスの価格が欧米で大幅に上昇し、それに伴う金属などの価格上昇もコモディティ価格の上昇要因となっています。コモディティの代表的なインデックスであるCRB指数は、昨年2021年の1年で約40%上昇しました。
今年、2022年も天候不順による農作物価格の上昇や、カーボンニュートラルの影響も懸念されます。
難しいマーケットながら明るい材料も
ここまで見てきたように、インフレや金融引き締めなど経済にとってはマイナスの要因が多く、資産運用は今までより難しい局面になると予想します。
一方で、明るいニュースになる可能性のあるのが新型コロナウイルスです。2021年末から感染拡大が再び始まっているものの、ウイルスの弱毒化や新しい経口薬の開発などによって、これまでとは異なる「コロナとの共存」が広がっていくのではないでしょうか。
各国で新型コロナウイルスに対する的確な対応が迅速になされ、経済対策で経済活動が活性化することによって世界経済の成長率が再び高まり、相場を下支えする材料になることを期待します。
今年2022年も皆様に、リスクをコントロールしながら資産を着実に増やすためのヒントを提供していきたいと思います。どうぞよろしくお付き合いください。