BTC(ビットコイン)は先週、ついに底割れとなり、一時400万円を割り込みました。1月25-26日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)の内容がかなりタカ派になるのではないかという懸念から売りが先行したようです。ゴールドマンサックスは年内4回以上の利上げを予想しており、他の投資銀行の予想も徐々に上方修正されつつあります。
CMEグループのウェブサイトに掲載されている金利先物動向の資料(※)によると 年4回利上げ織り込み度が26.7%、年5回利上げ織り込み度が11.1%、6回の予想も2.0%となっています。つまり、4回以上の予想が39.9%ということです。
前回のFOMCからまだ1ヶ月余りですが、既に予想が1段階前倒しになっていると考えられます。2021年にFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の再任が発表された時点で2022年の利上げ予想は1回程度でしたが、ここへきて急速にタカ派に傾いているようです。
このような背景から米国株式市場でハイテク株が売られていると考えられます。暗号資産も米国株のハイテク株同様に値下がりが顕著であり、影響を大きく受けているように感じます。
BTC/JPYは重要サポートライン割れ
BTC/JPY日足です。
私は430-460万円ゾーンで買い戻しを再開しましたが、430万円付近を一直線で割り込んでしまったため、戦略を見直そうと考えています。
430万円付近のサポートラインが買い場と考えていましたが、そこで一度も反発しなかったということは、それ以上の売りがあったのか、既に市場に買いを入れるほど余力が残っていなかったということでしょう。
仕切り直して、買いを仕込んだポジションを少し落として暗号資産20-30%、残りはキャッシュポジションで様子を見たいと思います。
理由については以下の週足分析でお伝えします。
並行チャネルラインにタッチしました。ここを割り込みますと、次は320万円付近までサポートラインが存在しません。さらにここから20%の下落余地があるため、現在のチャネルラインを割り込むと投げ売りが出てくると思われます。
2021年から続いた大きな上昇トレンドは、今回の下落で終焉を迎える可能性が出てきました。米国株式市場の動向を見ていると、まだ天井圏からのわずかな下落に過ぎないので、まだ下落の余地が大きく残されているように感じます。よって、連動して暗号資産市場も大きく下落する余地が残されていると考えられます。そのため、しばらくはショート戦略のほうが良いかもしれません。
ETH/JPYは29万円割りこんだ水準で推移
ETH/JPY週足分析に移ります。
ETH(イーサリアム)は並行チャネルレンジ下限にタッチしており、BTCと似たチャート形状になってきました。
サポートライン29万円台を割り込み、この下限ラインで推移しています。ここを割り込みますと、次のサポートラインとなる18-19万円まではかなり距離があります。つまり、現在の水準を割り込む場合、さらに35%の下落余地を残しているため、ETHの買いエントリーはかなり危険な水準にあると言えます。
最近メディアではロシアのウクライナへの侵攻の懸念も報じられています。私はこの問題が先週の円買い相場につながっているように思います。このような政情不安もあり、株式市場も暗号資産市場もポジション整理が続くように考えています。
私は本コラムで、11月末〜12月上旬に暗号資産のポジションを解消し、430-460万円台から買い戻すことを述べていました。私はそれを実行してきましたが、まだ売却のタイミングをうかがっている投資家も多くいるでしょう。彼らの我慢が限界に達するのは、現在の水準を割り込むレベルだと考えています。そのような場合を想定して、もう1段安にも警戒しておくと良いでしょう。
テクニカルだけ見れば、BTCもETHも大きな並行チャネルレンジの下限ラインで買い場のようにも見えます。しかし、ファンダメンタルズから考察すると、決してよい状況ではありません。リスクバランスを考えた上で、買いポジションを検討したいところです。
買い目線には変わりありませんが、強気のトーンをもう少し弱めたいと思います。私は前述通り、暗号資産の買い割合を20-30%の水準に落とすイメージです。
非常に難しい相場局面になってきました。リスク管理を第一に考え、この相場を乗り越えていきたいと思います。
(※)CMEグループのウェブサイトに掲載されている2022年12月14日FOMC時の予想金利より
https://www.cmegroup.com/ja/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html