イオン、セブン&アイ・ホールディングス、ファーストリテイリングが決算発表

小売大手3社の決算が先週発表されました。3社というのは、イオン(8267)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)、ファーストリテイリング(9983)です。決算に対する株価の反応はまちまちでしたが、今後どのような相対優劣が予想できるでしょうか。

イオンの2022年2月期の第3四半期までの利益は前年同期比で改善基調ですが、通期見通しに対する進ちょく率に弱さがみられます。今回の決算では、2021年2月高値からの下降トレンドが一段と加速する展開となりました。

一方、2020年3月の急落・急反発があった水準まで調整が進んでいることも確かで、値ごろ感でみると短期的にはリバウンドも期待できそうです。今後は海外展開と連結子会社化した100円ショップを展開するキャンドウとのシナジー効果に注目です。

セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)の株価は決算にポジティブな反応を示しました。今期の通期見通しを増額しております。市場コンセンサスはやや下回りましたが、海外コンビニ事業に対する期待値が高かったように思われます。

株価は2021年6月高値からのもみ合い相場を脱し切れていないですが、長期トレンドを示す52週移動平均線が右肩上がりの中、13週移動平均線が26週移動平均線を上回る可能性が高くなってきた点がポイントです。

ファーストリテイリング(以下、ファストリ)の2022年3月期の第1四半期の連結営業利益は市場コンセンサス以上の着地となり、株価はポジティブサプライズとなりました。

大手3社の株価相対推移から見る、次なる狙い目とは?

さて、下記の図表で3社の株価に係る2018年以降の相対推移をご覧ください。数年後を見据えたとき、直感的にどの銘柄に投資するでしょうか? 

【図表】大手小売株の相対推移(週次、指数化)
QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

2021年2月高値から下落が続き大幅に安くなったイオンやファストリに対して、2021年2月以降も上昇を続け、数年来の高値圏でもみ合いが続くセブン&アイの株価が対象的です。それでも、現時点のパフォーマンス高順位は、ファストリ→イオン→セブン&アイとなります。

様々な考え方があると思いますが、私が注目したいのは高値圏にあるセブン&アイです。高値圏と表現すると警戒感が台頭しますが、2018年以降でみると相対的に出遅れ感があり、高値圏からの伸びしろというか、一段高に賭けたくなる動きとなっています。

イオンやファストリも大幅調整後の出直りは期待できますが、下落トレンドが続いているために値ごろ感はあっても需給悪になっており、上方向に対する瞬発力や持続力が相対的に鈍くなる可能性が高いとみられます。

一方、高値圏でもみ合いながらもエネルギーをため込んでいるセブン&アイが上放れれば、瞬発力や持続力で優位に立つ可能性が高く、長期的なパフォーマンスも逆転可能となるでしょう。