【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 36,068.87  ▼162.79 (1/10)
NASDAQ: 14,942.83  △6.93 (1/10)

1.概況

先週末の米国市場は米雇用統計で失業率が市場予想を上回る改善をみせるなか米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化を急ぐことを警戒した売りが続き続落となりました。13ドル高でスタートしたダウ平均はマイナスに転じ昼前に124ドル安まで下落した後持ち直すと広すぎに146ドル高まで上昇しましたが、その後伸び悩むと引けにかけて上げ幅を縮めマイナスに転じ結局4ドル安の36,231ドルで取引を終え3日続落となりました。また、S&P500株価指数も19ポイント安の4,677ポイントと4日続落となったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も144ポイント安の14,935ポイントとなりこちらも4日続落となっています。

昨日の米国市場は高安まちまちとなりました。大手金融機関がFRBによる今年の利上げ回数の見通しを引き上げたことや、最初の利上げの時期の予想を前倒ししたことなどが重石となりダウ平均とS&P500株価指数は続落となりましたが、ナスダック総合株価指数は主力ハイテク株の一角に買い戻しが入り反発となりました。56ドル安でスタートしたダウ平均は大きく下げ幅を広げ昼前に591ドル安まで下落した後持ち直しましたが、上値は重く結局162ドル安の36,068ドルで取引を終え4日続落となりました。また、S&P500株価指数も6ポイント安の4,670ポイントと5日続落となっています。一方でナスダック総合株価指数は6ポイント高の14,942ポイントとなり5日ぶりに反発となっています。

2.経済指標等

先週末に発表となった12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比19万9000人増に止まり市場予想を下回りました。失業率は3.9%と前月の4.2%から低下し市場予想を上回る改善となりました、また、11月の米消費者信用残高は399億9000万ドルとなりました。

昨日発表された11月の米卸売在庫は前月比1.4%増となり市場予想を上回りました。一方で米卸売売上高は前月比1.3%増に止まり市場予想を下回っています。

3.業種別動向

先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、一般消費財・サービスと情報技術が1%以上下落しました。一方で4業種が上げ、エネルギーと金融が1%を超える上昇となっています。

昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、資本財・サービスが1%以上下落したほか、素材も1%近く下げました。一方で3業種が上げ、ヘルスケアが1%高となっています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄ではホーム・デポ(HD)が3%近く下げたほか、ナイキ(NKE)とユナイテッドヘルス・グループ(UNH)も2%以上下落しました。一方でウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)とトラベラーズ(TRV)、ハネウェル・インターナショナル(HON)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)が2%を超える上昇となっています。ダウ平均構成銘柄以外ではハイテク株が売られ電気自動車のテスラ(TSLA)が3%以上下げ、動画配信のネットフリックス(NFLX)も2%を超える下落となりました。また、半導体株でもエヌビディア(NVDA)とアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が3%以上下げ、クアルコム(QCOM)も3%近く下落しています。携帯通信大手のTモバイルUS(TMUS)も2021年10-12月期の携帯電話の契約件数が市場予想を下回ったことで5%安となっています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄では投資判断と目標株価の引き下げを受けてナイキ(NKE)が4%余り下げたほか、ボーイング(BA)も3%近く下落しました。ビザ(V)も2%以上下げています。一方で主力ハイテク株の一角に買い戻しが入るなかインテル(INTC)が3%を超える上昇となりました。ダウ平均構成銘柄以外でも電気自動車のテスラ(TSLA)が3%高となっています。デル・テクノロジーズ(DELL)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて3%以上上げています。バイオ製薬のモデルナ(MRNA)も2022年分の新型コロナウイルスワクチンの顧客と結んだ契約額が185億ドルになったと発表したことで9%を超える上昇となっています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は0.04%高い1.76%となりました。昨日の長期金利は変わらずの1.76%となりました。ドル円は115円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が続落となったことから軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)