金融政策ウィークの振り返り
今週は、金融政策会合が集中する一週間となっている。その中で、16日までの金融政策会合を振り返ったところで、予想外、いわゆる「サプライズ」とされたのは16日のBOE(イングランド銀行)の利上げだろう。また、一部に予想はあったものの、メキシコ中銀も利上げ幅を0.5%に拡大した。
BOEは、前回11月の会合では、事前の利上げ予想に対し、結果的にはそれを見送った。その意味では、方向は逆ながら、2回連続の「サプライズ」となったことで、英ポンド相場も、前回は急落、今回は急騰といった具合に荒い値動きとなった(図表1参照)。
ところで、今回の「サプライズ利上げ」について、BOEは公式見解の中で、じつは前回の会合から基本的に決めていたことだったといった主旨の説明を行った。ただ、前日、15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の影響もあったのではないか。
経験的に、金融政策の「サプライズ」は、米国の金融政策の「サプライズ」の後に起こりやすい。2021年6月24日のメキシコの最初の利上げ、そして7月14日のNZのQE(量的緩和)終了表明は、ともに予想外、「タカ派サプライズ」の決定とされたが、これらは米国の超金融緩和政策の転換が初めて意識された6月16日のFOMCから間もなくの出来事だった。
今回、BOE「サプライズ利上げ」決定の前日に行われたFOMCでは、2022年中の利上げについて2回から3回に増える見通しが示された。この点などから、今回のFOMCについても、予想より「タカ派」の内容だったといった評価はあった。
今回のFOMCで、いわゆる「テーパリング」は2022年3月に完了する見通しとなったが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、最初の利上げについて、「テーパリング完了からそれほど遅くならない」といった見通しを示した。こういったことから、最初の利上げのタイミングも、2022年6月頃との見方から前倒しされてきたようだ。
米利上げ見通しの前倒しは、米ドル高の結果として、米ドルに対する他通貨の下落要因となることから、自国通貨の下落回避の観点から、金融引き締めといった利上げ判断を前倒しする可能性がある。
以上のように見ると、BOEの「サプライズ利上げ」は、米国の「タカ派」姿勢強化の影響もあり、その意味ではBOEにとどまらず、他の中央銀行にも影響することで、「タカ派」への転換がドミノ倒し的に進む可能性も注目されるのではないか。
メキシコ中銀は16日、5回連続の利上げを決め、さらに、利上げ幅はそれまでの0.25%から0.5%に拡大した。一部に予想はあったものの、これを受けて、まずはメキシコペソ買いの反応となった(図表2参照)。世界的なインフレ懸念の広がりに加え、米国の「タカ派」姿勢強化により米ドル高の見通しが強まることで、自国通貨安回避の観点などから米国以外の国にも「タカ派」姿勢が伝播しているといった構図にも見えてくる。