前回の記事ではNISAも含めた日本株の配当金を考慮した投資について考えました。日本株の配当利回りは高いものも増えてきており、特に非課税のNISAであれば魅力があろうということをお伝えしました。もちろん、高配当を継続しながら株価も上がっている銘柄がある一方で、高配当ながらもそれ以上に株価が下がってしまう、あるいは一時的に高配当でもその配当水準が維持できなくなる銘柄があるのも事実です。では、高配当で魅力的な銘柄はどのように探すのが良いでしょうか。

高配当で魅力ある銘柄を探す方法

そもそも配当金がどのように出されるかを考えてみましょう。簡単に言うと、配当金の原資はその期の利益と過去の利益の蓄積(利益剰余金などですが、ここでは内部留保とします)です。一般家庭に例えれば毎月の収入と過去の貯金と考えてもらえば良いでしょう。

【図表1】配当金の原資と配当金
出所:マネックス証券

多くの企業は配当金を安定的に支払うことを望んでいます。そのため、基本的には当期利益の中で配当を行うことが通常です。当期利益を超える水準の配当を行うと内部留保、つまり貯金に手をつけねばならず、継続性が難しくなるためです。

上記ですと、配当Aの場合は当期利益の範囲内ですが、配当Bの場合は当期利益を超える水準の配当です。その分、内部留保が削られるので、同じ利益水準が続くのであれば内部留保は徐々に減っていき、やがては枯渇してしまいます。当期利益のどれだけを配当に回しているかを配当性向と言います。

配当金総額/当期利益=配当性向

配当性向が100%を超えていると、上記のように内部留保を削る形になります。このような配当のことをタコが自分の足を食べるようなものということで「蛸足配当」などと呼びます。

例えば現在、東証上場会社で予想配当利回りが最も高い企業は明和産業(8103)です。同社は2021年8月に従来予想の年間22円の配当金を年間115円に上げることを発表しました。マネックス証券の会社四季報では直近数期の利益と配当の金額を見ることができます。以下、赤色で囲んだ箇所は1株あたりの数字になっています。

【図表2】明和産業の利益・配当の推移
出所:マネックス証券「会社四季報」

配当性向があまり高くない銘柄がベター

明和産業の今期、つまり2022年3月期の決算では1株あたり利益が47.9円である一方、1株配当は115円になっています。配当性向は実に240%で、当然ですがこの水準を継続はできません。四季報の予想でもその次の23年3月期の1株配当は23-24円という予想になっています。

明和産業自身も基本的な利益配分(つまり配当)の方針は配当性向50%ということで、今期の115円は同社の資本・財政状態を再検証して決めたとのことです。過去の蓄積が多すぎるので株主に還元したということでしょう。いずれにせよ、高い配当性向は継続が難しいため、見かけの配当利回りで判断をするよりは配当性向があまり高くない銘柄を選ぶ方がベターです。

利益水準・ビジネスが安定している銘柄を選ぶのが賢明

次に、当たり前ではありますが利益水準が安定しているかも大事なポイントです。利益水準が安定しているかを判断することは簡単ではありませんが、基本的には過去の業績推移とそのビジネスの内容を見て判断するのが良さそうです。例えば、高配当で知られる日本たばこ産業(2914)は過去の業績自体は安定しています。過去の業績をマネックス証券の「銘柄スカウター」で確認すると、以下のようになります。

【図表3】日本たばこ産業の過去の業績推移
出所:マネックス証券「銘柄スカウター」

直近ではやや営業利益が落ちてはいるものの、左軸を見れば分かるように5000億円付近から6000億円付近で急激に落ちているわけではありません。高配当ではありますが、配当性向も100%を超えていません。しかし、たばこ事業そのものの将来性が懸念されており、株価はこの5年ほど大きく下落してきています。直近では154円から130円に減配していますが、株価の下落はそれより大きいので、将来性が不安視されていると言えそうです。

【図表4】日本たばこ産業の10年チャート
出所:マネックス証券(2021年12月10日時点)

これらをまとめると、配当性向があまり高くなく、利益水準が安定しており、そのビジネスの内容も安定していそうな高配当株を狙うのが賢そうです。ビジネスの内容は難しいですが、それ以外はマネックス証券のスクリーニング機能で絞り込めます。今回はそのスクリーニング例を見てみましょう。

【図表5】安定した配当金狙いのスクリーニング
出所:マネックス証券(2021年12月10日時点)

上記の通り、東証上場会社で売上高・経常利益が10%成長とビジネスが安定しており、配当利回りも4%以上と高いが配当性向が30%以下で利益の中から配当をしている銘柄をスクリーニングすると、以下の結果が出てきます。

【図表6】安定した配当金狙いのスクリーニング結果
出所:マネックス証券(2021年12月10日時点)

単純にスクリーニング結果を見ただけでは判断が難しく、確認すべき点も多そうです。長い目で業績が安定しているか、一時的な業績ではないか、ビジネスの内容などは追加で確認する必要があります。

今回はひとまず上記のスクリーニング結果を掲載しました。個別の検討や条件の再設定など、詳細については次回以降取り上げていきたいと思います。