東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに小幅に反発しました。日経平均はほぼ横ばいで寄り付くと直後に50円高の28,870円まで上昇しましたが、伸び悩むと下落に転じ10時20分過ぎに345円安の28,475円まで下落しました。しかし、急速に持ち直すと27円安の28,792円で前場を終えました。プラスに転じ157円高の28,977円でスタートした後場の日経平均は直後に180円高の29,000円まで上昇した後14時10分に2円高の28,822円まで上げ幅を縮めましたが、マイナスになることなく踏み止まると持ち直し結局72円高の28,892円で取引を終えています。一方で新興市場は軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
昨日の引け後に上期決算を発表したソニーグループ(6758)が一時4.7%高となり年初来高値を更新しました。楽曲のストリーミング再生など利益率の高い音楽事業の好調に加え、映画や半導体事業の見通しも引き上げたことで通期の営業利益の見通しを9800億円から1兆400億円に引き上げ、初めて1兆円の大台に乗せる見込みとなったことが好感されました。同じく上期決算を発表した富士電機(6504)も11.8%高となり年初来高値を更新しました。パワー半導体が自動車向け産業機器向けともに好調で通期の営業利益の見通しを600億円から市場予想を上回る670億円に上方修正したことで買いを集めました。キーエンス(6861)も5.0%高となりました。通期の見通しは公表しませんでしたが、上期の営業利益が工場自動化の需要増を背景にセンサーなどの引き合いが強く前年同期比で69.1%増と大幅な増益となり市場予想を上回ったことで大幅高となりました。
昼休み時間中に上期決算を発表した商船三井(9104)も9.5%高となりました。コンテナ船事業において荷動きとスポット賃率が想定を上回るレベルで推移していることなどから通期の経常利益の見通しを3500億円から市場予想を上回る4800億円に引き上げたことで後場に上げ幅を広げました。また、日本郵船(9101)と川崎汽船(9107)にも買いが広がり、日本郵船が6.8%高、川崎汽船も7.0%高となっています。
一方で上期決算を発表したパナソニック(6752)が6.2%安となりました。電子部品や車載電池が好調で通期の営業利益の見通しを3300億円から3700億円に引き上げましたが、市場予想並みに止まったことから売りが優勢となりました。同じく上期決算を発表したアドバンテスト(6857)も通期の営業利益の見通しを上方修正したものの市場予想に届かなかったことで一時4.2%安となり、ゾゾタウンを運営するZOZO(3092)も上期の営業利益が前年同期比で19.5%増となったものの市場予想を下回ったことで14.7%安と急落しています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は72円高となりました。米国市場で取引終了後に決算を発表したアップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)が時間外で大きく下げたことが重石となり一時は340円以上下げましたが、節目の28,500円を小幅に割り込んだところで押し目買いが入り急速に下げ幅を縮めると買いが優勢となり、昨日の米国市場でS&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したこともあって上げ幅を三桁に広げ節目の29,000円を付ける場面もありました。31日の衆院選では自民党が単独で過半数を取れるかが注目されますが、週明けは衆院選の結果にマーケットがどのような反応をみせるのかがポイントとなりそうです。
なお、決算発表が本格化していますが本日も引け後に村田製作所(6981)やANAホールディングス(9202)、KDDI(9433)などが決算を発表する予定で、29日の米国でもシェブロン(CVX)やエクソンモービル(XOM)などが決算発表を予定しています。また、日本時間の21時30分には9月の米個人所得と個人消費支出(PCE)が発表される予定で、22時45分には10月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には10月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)