東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。277円安の28,527円で寄り付いた日経平均は直後に298円安の28,506円まで下落した後持ち直すと9時50分過ぎに136円安の28,668円まで下げ幅を縮めましたが、再び下げ幅を広げると11時10分過ぎに332円安の28,472円まで下落し284円安の28,520円で前場を終えました。

204円安の28,599円でスタートした後場の日経平均は14時10分過ぎに271円安の28,533円まで下落しましたが、その後引けにかけて下げ幅を縮めると大引け間際に170円安の28,634円まで戻し結局204円安の28,600円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

パナソニック(6752)が4.9%高となりました。米アップル(AAPL)と中国2社の協議が行き詰まったためアップルの電気自動車向けバッテリーの調達先としてパナソニックが新たな検討対象の1つとなっていると伝わったことが材料視されました。

第3四半期決算を発表した中外製薬(4519)も10.5%高となりました。新型コロナウイルス治療に使われる関節リウマチ薬「アクテムラ」の輸出が想定以上に増えたうえに、新型コロナウイルス治療に使う抗体カクテル療法「ロナプリーブ」の売り上げも新たに織り込んだことから通期のコア営業利益の見通しを3200億円から4000億円に上方修正したことが好感されました。

上期決算を発表した東京製鉄(5423)も15.9%高となりました。製品値上げが進んで販売価格が想定を上回り、鉄スクラップなど原料の価格上昇分を吸収して利幅が改善する見通しで通期の営業利益の見通しを220億円から310億円に引き上げたことで買いを集めました。

一方で栗田工業(6370)が3.4%安となりました。通期の純利益の見通しを211億円から180億円に下方修正したことが嫌気されました。また、日経平均が下げ幅を広げるなか指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)やソフトバンクグループ(9984)が安く、ファーストリテイリングが3.8%安、ソフトバンクグループも3.4%安となり、この2銘柄で日経平均を145円押し下げています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は204円安となりました。先週末の米国市場でナスダック総合株価指数が反落となったことで売りが優勢となり、指数寄与度の大きい銘柄の大幅下落の影響もあって下げ幅を広げました。先週末に続いて節目の28,500円近辺での底堅さは確認できましたが、先週末に伸び悩み200日移動平均線とほぼ同じ水準で取引を終え、本日下落となったことから200日移動平均線(28,808円)が上値抵抗線として意識されそうです。

今週は決算発表が本格化しますが、こうしたなかで決算発表を追い風に200日移動平均線を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、米国では決算発表が一足早く本格化していますが25日もフェイスブック(FB)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)