コリン・パウエル元米国務長官が亡くなられました。パウエル氏は、立派な軍人であり、ステイツマンであり、何よりも素晴らしい人間だったのだと思います。私はパウエル氏を5メートルくらいの目の前に見たことがあります。2001年の9月、サンフランシスコ講和条約の50周年記念の一連の式典がサンフランシスコであり、その時に極少数の日米からの関係者等で米軍施設内で開かれた小さい式典があり、どういう訳か私はそこに招かれたのでした。日米双方から20人ずつくらいしか出席していなかったと思います。小さい部屋で、目の前のほんの20センチくらいだけ高いところに、パウエル国務長官と田中眞紀子外務大臣がいて、とても質素な式典でした。

確かその日の夕方からシティホールで大きな式典があり、そこでもパウエル氏はスピーチをして、それからニューヨークに帰って、あの同時多発テロが起きたのでした。当時からパウエル氏は最重要人物の1人でしたから、あのシティホールもテロのリスクとかあったのかも知れません。そしてその1年ちょっとあと、アメリカが戦争を始めるかどうかに世界中が注目していた時、2003年1月に、ダボス会議でもパウエル氏のスピーチを聞きました。会場運営を手伝っている地元のおばさんまでが大ホールに入ってパウエル氏の話を聞いていました。とてつもない緊張感がありました。大量破壊兵器があるかないかで、パウエル氏はご本人が一生後悔する発言をしてしまう訳ですが、パウエル氏の話には格調があり、人格というか、1人の人間としての大きな責任と決意に包まれていて、世界中がパウエル氏の話に丁寧に耳を傾けているようでした。

私はあのような大きな人に、パウエル氏以外に会った記憶がありません。パウエル氏が大統領になっていたら、世界は何か変わっていたのでしょうか?深くご冥福をお祈りしたいと思います。