先週の中国本土株は小幅上昇でした。しかし、日々の値動きを見てみると3月2日(金)に大きく上昇する形で引けており、期待を持たせる終わり方となっています。全体的には前回も指摘した両会(全国人民代表大会と政治協商会議を併せた名称)を睨みながらの様子見といったところです。3月3日からは政治協商会議が始まっており、3月5日から始まる全国人民代表大会で金融政策の方向性などに関して新しいニュースが出てくる可能性があり、どちらかというと期待感を持ちながら良いニュースを待っているような状態だと思います。

先週発表された中国の経済統計を見てみると、3月1日に発表された2月の公式製造業景況感指数(PMI)は1月の50.5から小幅上昇の51.0となりました。これはほぼ市場予想通りの結果です。一方、同じく3月1日にHSBCが発表した2月の中国製造業PMI確報値は1月の48.8から若干上昇の49.6となっています(2月22日に発表された速報値では49.7でした)。PMIは50を上回れば製造業の景況感が良いことを示し、50を下回れば悪いことを示しています。中国の公式統計は中国政府の良いように調整されている可能性があるため、市場はHSBCの数字を重視していると言われています。HSBCのPMIは前月数字を若干上回ったわけですが、4ヶ月連続で50未満の水準に留まっています。さらにHSBCも、内需の力強い回復が見られない中、外需の悪化による下振れリスクがあると指摘しています。

また、もう1つのニュースとして、中国の4大銀行の2月の元建て新規融資が約1800億元となり予想を大きく下回りました。これは中国の資金需要の落ち込みが深刻であることを示しています。ちなみに1月の中国の金融機関の新規融資額も7381億元で予想の1兆元を大きく下回っていました。ただ、このような状況だからこそ、中国政府が金融緩和策について何か新しいメッセージを発信するのではないか?との期待感にも繋がっているわけです。冒頭にもあるように、現在は両会から何か良いニュースが飛び出してくるのではないかとの期待感から堅調な相場展開が続いています。もちろん、開催中はジリ高が続くものの、終わってみれば、特に新しいニュースがなく、一旦反落となる可能性もあると思います。しかし、もしも下落したところがあれば、そこは押し目買いの良いチャンスになるのではないでしょうか。