日本が敬老の日の祝日だった昨日、中国恒大集団を巡る債務不履行の懸念からハンセン指数が急落した。リスク回避の流れは欧州、米国市場にも波及し、ダウ平均は前週末比614ドル安の3万3970ドルで終えた。ダウ平均の下げ幅は7月19日(725ドル安)以来、2ヶ月ぶりの大きさとなった。シカゴCMEの日経平均先物は前日比670円安の2万9505円で引け、17日の大取終値を845円下回った。3連休明けの東京市場も大幅安は避けられない。
ただ、昨日は日本が祝日で休場、中国本土が21日まで中秋節の休み、香港は22日が祝日でアジア市場の流動性は限られていた。そうしたなかで下げが大きくなり、それが米国市場に波及、S&P500種は支持線と見られた50日移動平均を下回り、そこから反発できなかったため、CTAなどアルゴ・トレードが売りを膨らませた面がある。テクニカル的に下げが増幅された格好だ。
中国恒大集団の債務不履行はほぼ確実視されていて、それが現実のものとなってもサプライズはない。一時的な動揺はあるかもしれないが、長期化しないだろう。中国恒大集団の債務問題については、同国国内の不動産セクター以外に波及する可能性はないと思われる。実際、香港市場での売り浴びせは不動産とその関連業界にほぼ集中している。一部でリーマンショックの再来などという言葉も目にするが、状況はまったく違う。相場が深押しするなら絶好の買い場だろう。
今週最大のイベントは米連邦公開市場委員会(FOMC)である。今回の会合ではドット・チャートに新たに2024年分が加わる。それがタカ派的な見通しとなる可能性は否定できない。米国では住宅価格などの高騰が目立ち、先般のベージュブックでもインフレに対する懸念が述べられていた。加えて2022年の利上げ見通しも注目される。前回は、22年の利上げを想定するメンバーは7人だった。今回どれだけ増えるか。
テーパリングについては今会合での決定はないだろうが、年内開始が適切との姿勢を維持するだろう。今週発表されたニューヨーク連銀製造業景況指数や小売売上高は良好な結果で、景気鈍化懸念は後退しつつある。こうしたことから、今回のFOMCは前回よりもタカ派的姿勢が強まると思われるが、その程度と市場の反応が注目される。
したがって投資家は週末24日まで動きにくい。様子見機運の強いなか、神経質な展開となるだろう。基本的には政策期待と衆院選での与党勝利を見込んだ先高観が相場を支えるので、前述の恒大集団の債務問題を除けば、深い押し目はないと思われる。
少し懸念されるのは先週木曜日に大きく崩れたマザーズ市場だ。ただ、75日線で下げ止まり、翌日は大きく反発しているので一時的な調整にとどまるだろう。