先週お伝えした預金準備率引き下げの金融緩和策が中国本土の株式市場全体を押し上げ、先週の上海総合指数は1週間で約3.5%の上昇となりました。世界的な株高に乗り遅れていた中国本土株もいよいよ、その波に乗れてきました。預金準備率引き下げ直後の先週前半は、中国経済の減速懸念は依然と消えていないといった見方や、年後半にインフレ圧力が再び浮上する可能性が残っており今回の預金準備率引き下げが本格的な金融緩和を示唆するものではないといった見方などが多く、相場はあまり反応しませんでした。

しかし、週後半に入ってから、3月開催の両会(毎年3月に行われる全国人民代表大会と政治協商会議を併せた名称)前に更なる成長促進策が出るなどといった強気の見方が多くなり、株価の上げ足を速める結果となりました。今後も3月開催の両会に向けて、本土市場は堅調な足取りとなることが期待されるところです。

一方、香港市場の先週は横ばいでした。これまで上昇してきた大型株に利食い売りが出てハンセン指数・香港H株指数などの代表的株価指数は足踏みとなっています。しかし、出遅れていた中小型株が大型株のパフォーマンスを上回ってきています。ちなみに2月24日の年初来の上昇率で見ると、ハンセン指数は+16%、香港H株指数は+20%となっていますが、小型株の指標の1つであるGEM指数は+4%と大きく出遅れています。一部の中小型株は既にかなり上昇していますが、まだ出遅れているものもあり、この状況はもう少し続くのではないかと予想します。

その他では不動産銘柄が、不動産規制策の緩和期待で堅調に推移しています。まず、2月18日に中国国家統計局は全国主要70都市の1月の住宅販売価格の動向を発表しています。これによると、12月に比べ新築住宅価格が下落した都市が48、横ばいの都市は22で、上昇している都市はゼロとなりました。上昇都市がゼロになったのは不動産引き締め策が実施されてから初めてのことで、中国の不動産価格の下落基調が鮮明になってきたと言えます。

その中で上海市が上海市外から移住した3年以上の長期居住者に対し、地元住民と同様に2軒目の住宅購入を認めるようになったとする報道や、浙江省象山県で3件目以降の住宅購入についてローンではなく現金購入であれば認められるようになったとの報道がありました。実際には上海市の緩和はあまり知られていなかったというだけで昨年以来導入されているものであったし、浙江省象山県の緩和は地元内での微調整であるようで、大々的なものではありませんでした。ただ、緩和への期待は高まっており、不動産セクターについても両会に向けて何かのメッセージがあるものと期待されています。もっとも、これまでの経緯を見てみると、地方政府は緩和策を実施したいのですが、不動産価格の上昇に目を光らせる中央政府の注意を受けたくないので大々的に発表していない感じですので、中央政府が不動産の規制策をすぐに出すとは考えにくく、両会後の不動産セクターは反落の可能性もあるので注意は必要です。