東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて反落となりました。187円安の27,398円で寄り付いた日経平均は直後に228円安の27,357円まで下落した後10時過ぎに81円安の27,504円まで戻しましたが、前引けにかけて再び下げ幅を広げると191円安の27,394円で前場を終えました。
179円安の27,406円でスタートした後場の日経平均は13時40分過ぎに166円安の27,419円まで持ち直しましたが、引けにかけて下げ幅を広げると大引け間際に330円安の27,255円まで下落し結局304円安の27,281円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
塩野義製薬(4507)が4.1%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルスワクチンの有効性を確認する最終的な大規模治験をベトナムなどの協力を得て東南アジアを中心に行う方針を固めたと伝わったことが材料視されました。中外製薬(4519)も4.5%高となりました。関節リウマチ治療薬の「アクテムラ」が米国で新型コロナウイルス感染症の治療薬として緊急使用許可を受けたことなどで世界的に供給不足となっていることから増産を検討すると明らかにしたと伝わったことで大幅高となりました。
わかもと製薬(4512)も24.9%上昇しストップ高となりました。眼科手術補助剤「マキュエイド」に関して米企業とライセンス契約を締結したと発表したことで業績拡大期待が高まり買いを集めました。また、10月1日出荷分から和洋菓子を平均7%値上げすると発表した山崎製パン(2212)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて8.1%高となったほか、NTTデータ(9613)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.5%高となり年初来高値を更新しています。
一方で投資判断と目標株価の引き下げを受けて東京エレクトロン(8035)とSCREENホールディングス(7735)が安く、東京エレクトロンが3.4%安、SCREENホールディングスが6.6%安となっています。さらにトヨタ(7203)も世界的な半導体不足に加え、東南アジアで新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になり部品調達が停滞していることなどから9月の世界生産を計画比で4割減らすと伝わったことで後場に下げ幅を広げ4.4%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は304円安となりました。昨日の米国市場がFOMC議事要旨を受けて年内にテーパリング(量的緩和の縮小)が開始されるとの見方が強まり続落となったことで売りが優勢となりました。節目の27,500円を割り込んだことで押し目買いが入り下げ幅を縮める場面もありましたが、27,500円をわずかに上回ったところで上値が押さえられると再び下げ幅を広げました。そのため27,500円近辺での上値の重さが意識されそうで、引けにかけて一段安となったことで下値への警戒感も出てきそうです。
なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数と8月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、23時には7月の米景気先行指標総合指数が発表される予定です。また、19日の米国では半導体製造装置大手のアプライドマテリアルズ(AMAT)が決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)