東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅に3日続落となりました。171円安の27,806円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに481円安の27,496円まで下落した後一旦下げ渋り10時20分過ぎに361円安の27,615円まで戻しましたが、前引けにかけて下げ幅を広げると536円安の27,441円で前場を終えました。
528円安の27,448円でスタートした後場の日経平均は直後に549円安の27,427円まで下落し本日の安値を付けた後やや戻すと結局453円安の27,523円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は3.6%安となり年初来安値を更新しています。
2.個別銘柄等
富士フイルムホールディングス(4901)が6.8%高となり上場来高値を更新しました。ヘルスケア事業が好調で通期の営業利益の見通しを1800億円から2000億円に上方修正したことで買いを集めました。シチズン時計(7762)も9.8%高となり年初来高値を更新しました。北米や中国で時計の販売が回復していることに加え、工作機械も海外で設備投資需要が戻り中国や欧州で堅調に推移していることから通期の営業利益の見通しを100億円から138億円に引き上げたことで急伸しました。
ヘアカット専門のキュービーネットホールディングス(6571)も6.3%高となりました。5-6月の気温上昇に伴い来店客数が増えたことに加え、経費削減が奏功したことなどから2021年6月期の営業利益が前期比で93.5%増と大幅な増益となったことで大幅高となりました。また、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)もスマホ向けゲームのパズル&ドラゴンズが堅調に推移したことなどで上期の営業利益が前年同期比で39.5%増となったことや自社株買いを発表したことで6.5%高となっています。
一方で日本通運(9062)が13.2%安となりました。世界的な景気回復に伴い輸送需要が高まることなどから2021年12月期の売上高の見通しを上方修正しましたが、燃料費上昇などでの輸送コスト増が見込まれることから利益見通しを据え置いたことが嫌気されました。さらにテレビ会議システムのブイキューブ(3681)も2021年12月期の業績予想の上方修正が売上高のみに止まったことで20.1%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は453円安となりました。寄り付き前の8時50分に発表となった4-6月期の実質GDP速報値は前期比年率1.3%増と2四半期ぶりのプラス成長となり市場予想も上回りましたが、新型コロナウイルスの感染者増を受けて政府が緊急事態宣言を延長し対象地域を広げる方向で調整していると伝わったことや、ドル円が円高に振れたこともあって下げ幅を大きく広げました。
さすがに節目の27,500円を割り込んだところでは押し目買いも入り下げ渋りましたが、200日移動平均線と節目の28,000円を割り込んだ翌営業日に大幅安となったことで下値への警戒感が意識されそうです。なお、決算発表もほぼ終了ですが本日も引け後には東京エレクトロン(8035)が決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には8月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)