東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は4日続伸となりました。157円高の28,045円で寄り付いた日経平均は直後に258円高の28,146円まで上昇した後10時10分過ぎに86円高の27,974円まで上げ幅を縮めましたが、節目の28,000円を小幅に割り込んだところで下げ渋ると持ち直し181円高の28,069円で前場を終えました。170円高の28,058円でスタートした後場の日経平均は28,000円を小幅に上回って推移すると結局182円高の28,070円と後場の高値で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
ブリヂストン(5108)が5.3%高となり年初来高値を更新しました。上期決算を発表し世界でタイヤ需要が回復しトラックやバス、建設用のタイヤが大きく伸びていることなどから通期の調整後営業利益の見通しを2600億円から3600億円に上方修正したことから買いを集めました。同じく第1四半期決算を発表したパーソルホールディングス(2181)も7.0%高となり年初来高値を更新しました。人材派遣の派遣稼働者数が想定を上回ったほか、人材紹介事業での求人広告も好調だったことなどから上期の営業利益の見通しを151億円から225億円に上方修正したことで大幅高となりました。横河電機(6841)も5.1%高となりました。第1四半期の営業利益は前年同期比で25%を超す減益となりましたが、受注が前年同期比で15%増と回復していることが評価されました。
一方でソフトバンクグループ(9984)が一時2.7%安となり年初来安値を更新しました。上昇して始まりましたが、前年同期に米通信会社スプリントの株式売却益などで一時的に利益が膨らんだ反動で第1四半期の純利益が前年同期比で40%近い大幅な減益となったことで取引開始からまもなくして売りが優勢となりました。さらに米国の市場調査会社が代表的な半導体メモリーであるDRAMの価格上昇ペースが7-9月期に鈍化するとの見通しを示したことで半導体関連株が安く、レーザーテック(6920)が5.9%安、アドバンテスト(6857)が3.2%安、SUMCO(3436)が5.3%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は182円高となりました。1兆ドル規模のインフラ投資法案が米議会上院で可決したことを好感し昨日の米国市場でダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。昨日は一時上げ幅を300円以上に広げましたが失速したことで200日移動平均線と28,000円の回復に失敗しました。しかし、本日は一日を通して堅調に推移し200日移動平均線(27,971円)と28,000円を上回って取引を終えています。なかなか超えられなかった200日移動平均線を上回ったことで先高期待も出てきそうですが、まずは200日移動平均線や28,000円で下値を固めることができるかがポイントとなりそうです。
なお、決算発表も終盤ですが本日も引け後には日本郵政3社や楽天グループ(4755)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には7月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定ですが、6月の米CPIが2008年8月以来約13年ぶりの高い伸びとなったこともあって注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)