アップルの第3四半期決算は予想上回るも、株価下落。成長鈍化と半導体不足の懸念で
7月27日、アップルは、GAFAM+T(グーグル(アルファベット)、アップル、ファイスブック、アマゾン、マイクロソフト+テスラ)の決算発表の中でも完ぺきと言える決算発表を行いました。
アップルの第3四半期(4-6月期)の売上は814億ドルと前年同期比で36%上回り、事前予想を11%上回りました。iPhone、iPad、Mac、ウェアラブルなどを含むハードウェア部門の売上は前年同期比で38%増、アプリ、アップルミュージックやアップルTV+など利益率のより高いサービス部門の売上は33%増となっています。EPSは前年同期の0.64ドルに対し1.30ドル、コンセンサス予想は1.01ドルと、市場の予想を29%上回る結果となっています。
まさに世界ナンバー1のブランドを誇るアップルにふさわしい決算発表となりました。
ただし、今回のアップルの決算もコロナ禍における巣ごもり特需の恩恵を受けての好決算であることは間違いありません。経済が正常化する過程において、同じような成長率を期待するのは現実的ではないでしょう。
実際アップルは、決算発表後のカンファレンスコール(電話会議)で、今後の売上も2桁成長は期待できるが、今回のような36%という2桁成長ではないとし、サービス部門の伸びも通常のレベルに戻るだろうとコメントしています。今までの通常のレベルというと20%位です。
粗利益率については、今回の43.3%から41.5-42.5%へ下がるとしていますが、それでも1年前の38.2%より高いレベルとなります。
アップルは目先のリスクとして、iPhoneやiPadに使われる半導体の供給の制約があることを挙げています。これは世界的に自動車やパソコン業界を襲っている半導体不足の流れからくるものです。
iPhoneは本当に売れなくなるのか?
世界的な5Gへの移行は始まったばかりで、本格化するのはこれからです。5GのiPhoneが売れるかどうかはアップルだけの問題ではありません。AT&T(T)やベライゾン(VZ)のような通信会社が、全米で5Gのネットワークをどのくらいの速度で構築できるかにかかっています。
3Gから4Gに移行して何が変わったかと言いますと、スマホでオンラインショッピングができるようになったり、ネットフリックスのような動画コンテンツをストレスなく観られるようになりました。たまに3Gの信号へ落ちると、もはやスマホは使い物にならなく感じてしまいます。5Gの速度など要らない、という意見をお持ちの方も多いかと思いますが、今から5年後、いや3年後には多くのユーザーは5Gの世界に慣れてしまい、もう4Gの世界には戻れなくなってしまうのではないかと思います。
アップルにとっての、iPhoneのアップグレードサイクルは今後2〜3年は続くと考えています。
もともとアップルは、iPhoneの売上に頼るところが大きく、ある意味それが問題視されていました。それが今回の決算で全体の売上に占めるiPhoneのシェアが初めて50%を切りました。利益率の高いサービス部門やアップルウォッチ、エアポッドなどのウェアラブル製品の売上増が貢献してきているのです。ちなみに、iPhone保有者のうち、アップルウォッチを持っているのは13%だけで、これが今後4割に向かって伸びていくという調査結果もあります。私もツイッター上でフォロワーの方々に同様のアンケートをとってみたところ、潜在的な購入希望者が多いという結果が見られました。
アップルの長期的な見通しは?
5Gサイクルというテーマ以外にも、アップルは健康・ヘルスケアという非常に規模の大きな市場においても積極的に取り組みを行なっています。加えてAR(拡張現実)/MR(複合現実)の技術を使ったウェアラブル製品の開発も行っていると言われています。将来的には現在、電話やスマホ上でないと使用できない機能が、 iPhoneの様なハードウェアがなくとも、未来のウェアラブル製品だけで使用可能となる時代が到来すると考えています。また、アップル・カーという秘密裏に開発されている自動運転車が同社にとって投資テーマになる日もそう遠くないでしょう。
私が強調したいのは、アップルはこれからも成長することができる企業であるということです。
今回アップルは好決算を発表したにもかかわらず、翌日(7月28日)株価は下落しました。しかしこれは驚くべきことではありません。なぜなら、アップルの株価は過去4回の決算発表後、毎回事前予想を上回ってきたにもかかわらず今回と同様に翌日株価が下落してきたのです。
また、これはがっかりするには及びません。なぜなら、これまで良い決算を発表してもポジティブに反応はしませんでしたが、4回前の決算発表後から先週末までのアップルの株価は27%も上がっているのです。つまり、アップル株は決算発表に関係ないところで上昇してきたのです。このような点が、私がアップルについて強気でいられる理由です。