1月23日(月)は中国の旧正月の元旦にあたり、先週は一週間、本土市場はお休みで取引がありませんでした。その一方で、香港市場は26日(木)より取引が再開されており、26日(木)、27日(金)ともに株価は上昇しています。市場が好調な原因ですが、米国FRBによる異例の低金利の期限付き実行宣言に影響されたものでしょう。FRBは時間軸効果を創出すべく、金利水準の見通しとその期間を発表し、2014年後半まで現在のゼロ金利策を続けるとしました。このようにいつまでと期限を設けることはかつてなかったことで、また、予想以上に長かったことで、市場には期待感が高まりました。一方、欧州問題についても、市場はあまり反応しなくなっています。英格付け機関のフィッチによるベルギー、伊、スペインなどの格下げがあった欧州の銀行株も安泰の状況に変わらず、高値位置を保っており、ロンドン銀行間のドル金利も下がり続けており、金融情勢は緊張が緩んでいる状態です。

業種別で見ると、27日(金)には米国にADRを上場している中国のインターネット関連株が大幅高となりました。中国のネット人口が引き続き大きく増加しているとのニュースがあったところです。2011年末時点の中国のインターネット利用者は5億1300万人で前年比5570万人増となっています。ちなみに、中国商務省は新たな消費刺激策を検討していることが伝えられていますが、電子商取引向けの政策支援策が出てくる観測もあり、2012年上半期は2011年に大きく沈んだ中国のインターネット関連株にとって反発の時期であるかもしれません。

その他で目に付くのは金鉱株の上昇です。前述の米国の超緩和的金融政策の長期化は商品高を予想させ、特に金利のつかない金銀にとっては不利な材料が一つ消えることになり、金・銀価格は大幅高となっています。銀は年初来ですでに20%を超える上昇率、金も10%を超え、株や貴金属以外の商品を大きく上回ります。また原油は上がっていませんが、工業原料の銅価格も大きく上昇しており、関連株もまた大きく上昇しています。

2012年は米国の大統領選挙の年であり、2011年第4四半期の米国GDPが失望の成長率となったことからも、2012年も米国は景気刺激策を出し続ける必要があります。最終的には量的緩和政策第3弾(QE3)に踏み切る可能性もあり、それは米ドル価値の希薄化につながって反相関関係にある金価格にはプラスとなりますから、金や金鉱株は2012年も引き続き注目できると思います。