ユーロ/円、豪ドル/円、英ポンド/円

6月以降、クロス円の下落が目立ってきた。年初来の高値から先週にかけての最大下落率は、ユーロ/円、英ポンド/円が3%以上、そして豪ドル/円は5%以上となった(図表1、2、3参照)。5%以上の下落とは、米ドル/円にたとえると、110円から105円割れまで下落したことになるので、かなり大きく下落した印象になるのではないか。そこで、今回はそんなクロス円下落の背景と、今後の見通しについて考えてみる。

【図表1】ユーロ/円と独日金利差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】豪ドル/円と豪日金利差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表3】英ポンド/円と英日金利差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

クロス円の下落が拡大したのは、基本的には6月FOMC(米連邦公開市場委員会)の後から。FOMCが予想より「タカ派」の内容と受け止められ、米金利が急騰、米ドル全面高となったことで、米ドル以外の通貨は軒並み急落となった。

この中で、米ドルに対する円の下落より、ユーロなど円以外の通貨の下落が大きくなったことから、対円での外貨の取引であるクロス円の下落が拡大したということが基本だろう。

ところでもう1つの側面は金利差との関係だ。主要なクロス円は、基本的に5月にかけて年初来の高値を更新した。ただこの動きは金利差からかい離が目立つものだった。こういった中で、最近にかけてのクロス円の下落は、金利差から見た「上がり過ぎ」の是正としての説明も可能だ。

とくにユーロ/円や豪ドル/円は、2021年に入ってからの金利差との関係を前提にすると、最近にかけてきれいに「上がり過ぎ」が是正されたようだ。英ポンド/円のみ、まだ金利差から見て若干割高の可能性はある。

以上を整理すると、6月以降のクロス円の下落は、主に6月FOMC以降の米ドル全面高と、金利差から見た「上がり過ぎ」の反動が要因と考えられる。このうち後者、金利差から見た「上がり過ぎ」はほぼ是正された。その意味では、今後の行方は米ドル全面高が続くかと、金利差の見通しが鍵になりそうだ。