ETHのアップデートで新しい手数料モデル「EIP1559」が実装

ETH(イーサリアム)の大型アップデート「ロンドン」が、8月4日に実施されることになりました。ETHのマイニングアルゴリズムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行するための事前準備とも言えるアップデートの1つです。

DeFiが盛り上がる一方で、送金手数料の高騰という問題があります。今回のアップデートではそれを大幅に解決するために、新しい手数料モデルを導入する改善提案「EIP1559」が実装されます。これにより、ETHの送金手数料の料金体系とも言えるBase-Fee(ユーザーに発生する送金手数料の基本料部分)の一部が焼却されます。よって、マイナーの収益が減額されます。

このアップデート後、ETHやERCトークンは、送金手数料が従来と比べて大幅に安くなります。そのため、「DeFi市場の再活性化→需給の増加→価格上昇」が期待できると思います。

このアップデートについては、マイナーの収益低下につながるため議論がありました。しかし、ETHの多くのマイナーが自身のマイニング収入を削ってでもETHを改善したい、という意思が上回ったようです。このアップデートは賛成多数で落ち着き、8月4日にアップデートが実施されます。(日本時間の21時〜26時頃、ブロックが1296万5000に達した時に実施される予定)

ブロックチェーンでは、このように参加者の多数決による合意形成を採用しているため、簡単に意見がまとまらない場合もありますが、これがブロックチェーン業界でいう非中央集権の在り方だと思います。今回のアップデートの件で、その一部始終を垣間見た気がします。

ETHは、そろそろ買いを狙うタイミングか

【図表1】ETH/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

さて、大型アップデートを迎えることになったETHですが、このロンドンアップデートが8月4日に決定したのは、日本時間の7月7~8日頃でした。上のチャートをご覧ください。暗号資産市場でもしっかりと「セル・ザ・ファクト」が起きていました。

おおよそ、反対はないだろうというのがコンセンサスだったため、6月下旬から上昇し始め、「セル・ザ・ファクト」に至ったのでしょう。まだ膿を出して切れていない場合は、一段安になると思われますので、個人的にはそのあたりから買いを検討するイメージです。

2017年、2020年ともに、ETHは年末に向けて大幅上昇の仕掛けが入るのは、7月後半が起点となっています。ETHの歴史はまだ浅く、過去のローソク足チャートデータは5年ほどしかありません。アノマリーと呼べるものではありませんが、数少ないデータから実績があるタイミングとして勝負するなら、そろそろ買いで仕込みに動き出しても良いのではないでしょうか。

本コラムでは、しばらく「ETH投資は見送り」とお伝えしていましたが、個人的にはそろそろ買いを狙っていきたいと思います。

22万5000円のサポートライン割れに注意

【図表2】ETH/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

4時間足で具体的なエントリーポイントを見ていきましょう。まずは、直近最も近い22万5,000円が押し目の水準でしょうか。ただ、少し距離が近すぎることと、過去に2度止められていることもあり、ここを割り込むとストップロスが出そうです。ストップを引っ掛けた後あたりから買いを狙いたいイメージです。

個人的にはプライスの節目である20万円をバックに買い仕込みの再開を予定しています。割り込んでストップロスを誘発すれば、1万円ぐらいの値下がりがあると考えています。ですので、21万5,000円から20万円まで買い下がるイメージで、今週から指値注文をセットしていこうと思います。

現在の個人的なポジショントークですが、これまでBTC(ビットコイン)100%だったうち20%をETHに変えていこうと考えています。7月末までに仕込みを完了する予定です。

BTCのスクイーズはあと1週間辛抱

【図表3】BTC/JPY日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

では、BTC(ビットコイン)分析に移ります。

日足は依然として三角持ち合いで狭いレンジ内での推移を続けています。ボリンジャーバンドがスクイーズ(※)をはじめて、進行したままの状況です。スクイーズ具合もまずまずです。個人的にはあと1週間程度、この水準をキープして横ばいで推移してほしいと思っています。(※スクイーズとは、ボリンジャーバンドのバンド幅が小さく収縮し、しばらくの期間、値動きのボラがなくなる期間のこと)

つまり、ボリンジャーバンドの中心線付近から離れてまた戻る、という繰り返しの値動きに期待しています。次週以降のエクスパンションに大きく上昇することを期待して買いポジションをキープすることには変わりません。

その場合、MACDもより0.00ラインに近づくでしょうから、上昇下落パワーはよりニュートラルです。次のブレイクはテクニカル的に相場に乗っていきやすいタイミングではないでしょうか。仮に下方向に下落する場合でも買い目線を堅持し、330万円付近にて下落が止まるならば、最終的にはトリプルボトムをイメージして相場が戻っていくトレードを前提に考えています。

追加を入れるなら330万円をバックに、と考えています。しかし、ここ数週間、米ドル/円レートが上昇しましたので、安値のイメージは335万〜340万円で意識をしています。ドル建てでは、ちょうどその付近が前回の安値水準となりやすいでしょう。(ただし、リスクオフ相場になって米ドル/円が108円ぐらいまで下落する場合は別ですが…)

以上、今週の相場観です。個人的には上方向の目線は変えず、ETH投資の再開をイメージしながら行動していく予定です。