7月、ベゾス氏のブルー・オリジンが宇宙初フライト
ついに7月、民間宇宙旅行の第一歩が踏み出されそうです。7月にはアマゾンの創設者であるジェフ・ベゾス氏が保有するブルー・オリジンがベゾス氏と彼の弟、そしてオークション方式で約30億円支払う事で旅行する権利を獲得した一般人1名の乗客を乗せて宇宙に飛び立つ予定になっています。
ヴァージン・ギャラクティック株の暴騰
そんな中、1月の米国株マーケットセミナーでご紹介しましたヴァージン・ギャラクティック(NYSE:SPCE)株が先週の金曜日(6月25日)に1日で39%上昇しました。2021年2月4日に史上最高値を付けた同社株はその後、バリュー銘柄が買われグロース銘柄が売られるという全体的な流れのなか下落を続け、5月11日に今回の下げ局面の底を付けました。
その後上昇を再開した同社株は、5月22日に3回目のテスト飛行を行ったと報じられたこともあり、堅調に推移していました。それが6月25日には同社の商業宇宙旅行に関して、米連邦航空局(FAA)の許可を得たとのニュースが流れ、株価は1日で39%上昇しました。これは今回のFAAから許可を得たというニュースをきっかけとした投資家によるショートカバーがあったのが理由のようです。
加えて、2021年の1月に市場を賑わしたゲームストップ株の乱高下を起こした米国の掲示板型ウェブサイト「レディット」内のSNSフォーラム「ウォール・ストリート・ベッツ(WSB)」では、ヴァージン株について言及された件数がいつもの400%増となり、ミレニアル世代の投資家の注目を浴びたことも関係しているようです。
ヴァージン・ギャラクティックを巡るポジティブ・ネガティブ材料
ただ、6月に同社は10億ドルの資金調達(株、優先株、債券等で)を行うと発表しているので、株価が急騰したこの機会に証券の発行を行うかもしれず、これは株価を下げる原因となる可能性があります。また、ワラントを保有しているファンドに対し、270万株の新株の発行を行うという見方もあります。
1日で株価が4割上がるのは異常であり、現時点で最も強気のアナリストの目標株価を超えており、注意が必要です。
その一方、次のヴァージン・ギャラクティックのテスト飛行は、7月のブルー・オリジンのフライト前に行われるのではないかという見方があり、そのニュースが出れば投資家のセンチメントにポジティブな影響を与える可能性があります。
以上のようなポジティブとネガティブの材料があるなか、明日以降株価は乱高下する可能性は高いと見ています。同社の長期的な成長ストーリーはこれから始まると言っても、1日で39%の暴騰は想定外です。この感じですと当面ファンダメンタルズを無視して、投機的に需給関係だけで乱高下するのだと思います。これから売買される方は十分お気をつけください。
その他の宇宙関連銘柄
宇宙関連銘柄としては、移動体衛星通信サービスのイリジウム・コミュニケーションズ(IRDM)、全地球測位システム(GPS)技術を利用したナビゲーターや情報デバイス等の電子機器メーカーのガーミン(GRMN)、メディア、有料テレビ事業者、企業、政府、軍事機関向けに通信ブロードバンドサービスを提供しているエコスター(SATS)、航空宇宙および防衛関連の技術開発を行っているL3ハリス・テクノロジーズ(LHX)などが挙げられます。