BTCのハッシュレートが年初来最低値を更新
BTC(ビットコイン)のハッシュレート(採掘に利用されるコンピューターの計算力を測る指標)が年初来最低値を更新しました。BTC価格上昇以上の下落率です。
図表1の点線数値が、2020年末のハッシュレートですが、現在はそれを下回る水準で推移をしています。
その理由は、中国で5月から強まっているマイニング事業の取り締まりです。6月21日付けロイターの記事によると、6月19日に中国当局が新たに四川省でもマイニングプロジェクトの閉鎖を命じたとのことです。
筆者も、中国の友人を経由して雲南省や内モンゴル自治区でマイニングマシンを長年稼働させていましたが、残念ながら操業停止となってしまいました。
このような中国の取り締まり強化により、採掘難易度(ディフィカルティ―)も下がっている状況です。
中国国内のマイニングマシンが止まりますので、世界各国のマイナーの競争率は下がります。よって、中国以外のマイナーにとっては喜ばしいかもしれません。しかし、この現象が長く続くことはありません。なぜなら、マイニングマシンが中国国外に大移動をしているからです。安全な場所を求めて、北米やロシア、カザフスタンにマシンの輸出が大規模に始まっていますので、場所を変えて、再稼働するでしょう。
おそらく2-3ヶ月後からハッシュレートも大幅に上昇してくる可能性があります。このように考えますと、この夏はBTCの仕込み場なのかもしれません。
BTC/JPYは三角持ち合いの上値ブレイク失敗
では、BTC/JPY日足を見てみましょう。
ボトム圏で持ち合いを形成中から上方向にうまくブレイクしましたが、上髭で押し戻されました。前回のコラムでは、このブレイクに期待する旨を書きましたが、残念ながら「だまし」でした。
また、このブレイクが布石となり、現在はカウンターパンチを受けたようなローソク足形状です。
この1週間のうちに6日陰線という結果になっています。それも急落というわけでなく、徐々に下落という格好です。そのことから、断続的な売りが入っている、新規の買いフローが負けている、ということが見て取れるのではないでしょうか。
先々週は、イーロン・マスク氏の発言から上昇に転じましたが、それをすべて帳消しにする値動きを演じたため、先週押し目買いを行った投資家は、すでに含み損でしょう。よって、上値はしばらく重いように感じます。
買いでエントリーを狙うなら、ボトム圏で引けるトレンドラインにタッチするであろう水準からだと考えます。
この緑色のトレンドラインはおおよそ350-360万円で推移していますので、まずはその辺りからの押し目買い参入を狙いたいところです。逆に、レバレッジ取引で、新規売りから入るのも良いでしょう。
株の信用取引の経験者で、株式市場でも少々リスクオフ的な値動きをしていることから、まだ下落相場続くとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
つまりBTCはもう一段安を狙えるとお考えの方ならば、上記のレジスタンスラインをバックに、戻り売り戦略も十分考えられるのではないかと思います。
アルトコイン市況はBTCよりも悪い
では、ETH(イーサリアム)分析に移りましょう。
BTC日足チャートと比較して、ローソク足形状は悪いままです。下降トレンドラインを右に抜けてきたものの、そのラインに沿っていくような値動きをしており、反発らしい反発が見られません。BTCが下落すると同様に連れ安の展開となっています。
1日の下落率がBTCを上回っている日が多く、余計に軟調な展開となっている状況が続いています。しかし、それはETHに限ったことではありません。
図表5は前週比の騰落率を表している時価総額トップ10のコインです。USDTやUSDCといったステーブルコインは米ドルペッグコインですので除外しますが、ほとんどのコインがBTCよりもパフォーマンスが悪い状況です。
本コラムでBTCのターンがやってくると繰り返し述べていますが、この現象が表れ始めたという認識が個人的に強いです。
またタイミングによって、BTCだけ価格が大きく回復する局面があるものの、アルトコインはあまり上値を伸ばさず、低迷しやすい時期が毎年、夏頃に起こりやすい印象です。(これは、あくまで筆者の個人的な経験上です)
よって、6-8月あたりはBTC主体のロングポジション中心に、アルトコインはヘッジをイメージしてところどころショート戦略で回したいと考えています。上手く戦略を立てて、秋以降の大相場を狙う準備フェーズであるという認識です。
資産を守るフェーズに入ってきました。今週は少々保守的な運用でいく予定です。FOMC(米連邦公開市場委員会)後、金融市場の雰囲気もあまり良くありません。BTCも金融市場との相関性が高まってきていますので、今は次の買い場を窺うフェーズではないでしょうか。