このコーナーでは、お客様からいただいた質問にチーフ・外国株コンサルタントの岡元 兵八郎が回答します。

Q. アマゾンやマイクロソフト株の値動き傾向は?

 

ハイテクグロース株は、株価が大きく上下しながら上昇とのことですが、成熟しているバリュー株やマイクロソフト、アマゾンなどの値動きについても教えていただけると幸いです。

回答

 

ハイパーグロース株が高値を付けてからどのくらい下がるか、というチャートをお見せしたことがあります。例えば過去5年間でS&P500が高値をつけてから、どれくらい下落したかのチャートを見ても、その間に2.8倍上昇しています。時々10〜20%程度、たまに30%ほどの調整がマーケット全体で動きます。成熟していると言えど、アマゾンはグロース株ですので、平気で30%近い株価調整がたまに起きますが、その代わりという訳ではないですが、株価はこの間に50倍近く上昇しています(2007年6月22日〜2021年4月16日)。

【図表】アマゾン(AMZN)の高値からの下落率(期間:2007年6月22日〜2021年4月16日)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

一般的に良い銘柄とは、株価が良く上がっている銘柄であり、急成長している銘柄です。急成長しているということは長期的には伸びていっても、決算が振るわない時もあり、そういった局面では株価が大きく調整することもあります。ただ、そうした調整を繰り返しながら、長期的に株価は上がっていくものと思います。

このアマゾンがほぼ50倍上がった局面で マイクロソフトは9倍上がっていますが、あまり大きな調整は起きていません。

Q. スターリンクのIPOの見通しは?

 

スペースXの一部のスターリンクのIPOを心待ちにしていますが、どう思われますか。宇宙に衛星を打ち上げてインターネットを繋げるスターリンク計画を調べてすごく興味を持ちました。

回答

 

宇宙から地上へインターネットサービスを提供するスターリンクですが、非常に魅力的な企業だと思います。スターリンクは2015年に始まったイーロン・マスク氏が率いるスペースXの中のベンチャーの1つです。

実はこの部門はスペースXよりも先にIPOができそうだと企業側も説明しています。現在1,300以上の通信衛星が飛んでいますが、その宇宙に浮かぶ衛星から地球上の国々に高速インターネットサービスを行うという構想です。

都市部においては、通常4Gや5Gのインターネット回線が充実していますが、米国のような国土の広い国では郊外や田舎、山岳地帯に行くと、インターネットに繋がらないということが多くあります。バイデン米大統領も積極的に対応を進めたいという考えを示しているので、同社のコンセプトとは非常に合致しています。

正確に言うと、地上から320キロから640キロぐらいの高さに衛星を飛ばし、そこから地上に向けて信号を飛ばすとしています。ダウンロードが80mbpsから160mbpsくらいの通信が可能と言われています。先ほどチェックした私のソフトバンクのスマホでは東京の赤坂でも40mbpsくらいでしたので、80〜160mbpsはかなり高速だと言えると思います。

米国北西部のワシントン州やオレゴン州と、カナダのブリティッシュコロンビア州やアルバータ州、イギリスの一部、そしてオーストラリア、ギリシャ、ドイツで承認されているということです。既に顧客数は1万人を超えているそうです。始まったばかりですが、さらに1万以上の衛星が必要と言われています。

IPOのタイミングですが、同社によると、衛星が十分に打ち上げられ、キャッシュフローの見通しが立ってスケジュール感が見えてきたときにIPOを検討する、としています。年間の売り上げ目標を300億ドル(約3兆円超)としています。非常にエキサイティングな企業だと思っています。

Q. テスラの目標株価は、いくら?

 

テスラの目標株価はいくらでしょうか。

回答

 

私が非常に信頼している米国の運用会社アーク・インベストメントのキャシー・ウッドCEOが、テスラについてしっかりと分析されていて、彼女は3月19日に、テスラの目標株価について「2025年に3,000ドル」と発表しています。これがベアーケース(弱気)のシナリオとして1,500ドル、ブルケース(強気)の場合は4,000ドルとしています。ベアケース、ブルケースそれぞれ確率は25%としています。

この数字には様々な見通しが用いられていますが、自動車の販売台数や平均的な車の値段、保険ビジネスも含まれています。テスラはリアルタイムにデータベースに収集・蓄積されている運転データをAIが分析することで、様々な人の運転パターンに照らしたリスク分析が可能になり、より正確な保険料の算出ができると説明しています。現在は一部カリフォルニア州で行われていますが、今後全米や世界に拡大していく可能性や、ライドシェア展開の可能性なども総合的に加味してボトムアップで分析を行い、2025年には3,000ドルに到達するだろうという見通しを出しています。これは、私も参考にしている目標株価です。

Q. 米国株への長期投資ならETFと投資信託どちらを選ぶ?

 

米国株に投資信託か ETF のどちらで投資しようか検討中です。投資信託の場合は、基準価格に支払われた配当金が反映されるのでしょうか。配当金をもらうと税金がかかるので、長期投資であればETFよりも投資信託の方が良いのでしょうか。

回答

 

多くの株価指数連動の投資信託は配当金再投資のものがあるので、基準価格にはその配当金を再投資した価格が反映されています。仰る通り、配当金をもらうと税金がかかってしまうので、長期投資であれば配当金が再投資される投資信託も良いかもしれません。

一方、ETFを保有すると配当金が支払われ、税金を払うことになりますが、税引後のキャッシュが手に入るのでそれを使ってその後どうするか、という選択ができることになります。その時にそのETFに再投資するのもオプションの1つであり、別の個別銘柄に投資することもできます。それはもちろんその金額によってそれぞれ違います。

仮に投資金額が少ない場合は投資信託がベストでしょう。ある程度まとまった金額を投資できる場合はETFに投資して、それなりの配当金が出たときに他の個別銘柄を買うこともできますし、違う選択肢が広がると考えることができます。

S&P500に連動するETFや投資信託、どう選ぶべき?

 

中長期的な資産運用として比較的安定したリターンが見込まれるS&P 500に連動する ETFなどへの投資を検討しています。そこで米国上場のETFと国内上場のETFおよび国内の一般的な投資信託が考えられますが、どのように選択すればよいでしょうか。気になる点はドル円の為替、運用手数料などですが、他に考慮すべき項目はありますか。

回答

 

先の質問でも述べましたが、投資をする金額が少ないということであればETFではなく、投資信託がべストだと思います。例えば、マネックス証券の口座で投資信託の積立を1度設定をすると、銀行口座から自動で入金され、最低100円から毎日S&P500投信に積立投資することもでき、非常に便利で気軽に貯金的な感覚で投資できるので良いと思います。

投資信託のデメリットは1日1回決められた値段でしか買えないことがあります。一方でETFであればいつでも自由にリアルタイムで売買できるメリットがあります。

インサイダーによる自社株の売却は、自信のなさの表れ?

 

よく企業のインサイダーによる自社株買いを「自信の表れ」とおっしゃっていますが、逆にインサイダーによる自社株の売却は、自信のなさの表れと解釈していいのでしょうか?

回答

 

そのような場合もあるかもしれませんが、それぞれ個人のお金でもあるので、個人的な理由(例:不動産の購入等)で一部売却したりしている場合もあります。ですので、必ずしも自信のなさを表しているわけではないと思います。売却のニュースが出たときにその理由も公表されるので、背景を理解するということが大切だと思います。

Q. 東証・米国市場で売買するそれぞれのメリット・デメリット

 

S&P500やNASDAQ100のETFは東証でも売買できますが、米国市場で直接売買する場合と比較して、それぞれのメリット・デメリットを教えてください。

回答

 

東証で買うメリットは私たちが起きている日本時間の取引時間中に買えるということです。一方で、米国サイドで買うメリットは、ホームマーケットでリアルタイムで株価が動いている中で買えること、流動性が高いことでしょう。