このコーナーでは、お客様からいただいた質問にチーフ・外国株コンサルタントの岡元 兵八郎が回答します。

Q.米国株の投資対象選び、企業のどのようなところを見て判断する?

 

投資対象を選ぶとき、その企業のどのようなところを見て判断するのでしょうか。例えば決算の数字やガイダンスのビジョンでしょうか。

 

 

回答

 

まずその企業の業界が魅力的な業界かどうか、そしてその業界は今後も成長していくのかを見ます。その業界の規模はどの程度か、その業界にどのような同業他社がいるか、業界の成長率や、その中で自分が投資をしようと思っている企業の成長率はどのくらいか、など他社と比較してバリュエーションはどうかを見ます。

また企業のホームページから、IR(インベスター・リレーションズ)のページにアクセスし、その企業のマネジメントの5ヶ年計画のプレゼンテーション資料を見たり、アニュアルレポート(年次報告書)でその企業が扱っている商品の写真を確認します。日本で売られていない商品や日本で馴染みのないサービスですとイメージしにくいことがありますが、アニュアルレポートやプレゼンテーション資料を見ると写真が載っていてイメージが持ちやすくなります。またマネジメントのビジョンや、その企業のCEOの自社株の保有比率や毎年のその報酬の何割がその株にリンクしているか、といったこともチェックします。

また決算期の企業のマネジメントのコメントも今後の見通しについて答えていることが多いので、それらを確認すると色々なことが見えてきて、不安が減っていきます。

その銘柄のことを知れば知るほど、株価が下がっても安心していられます。

Q.長期運用の出口戦略をどう考える?

 

岡元さんは長期運用を勧めていらっしゃいますが、出口戦略についてはどう考えていますか。またマーケット下落時に投げ売りしない精神力を保つ秘訣があれば教えてください。

 

 

回答

 

まずご質問の「出口戦略」の意図を確認しておくと、米国株が暴落する前に売却するという意味でのご質問でしょうか。そうであれば、基本的には米国株は米国経済がこれからも長期的に成長する過程において、長期にわたって株も上昇を継続すると考えているので、今行っている株式投資をどのタイミングで止めるかという意味でお答えさせていただきます。

資産を増やす理由は、皆さんそれぞれ目標が少し違ってくるのではないかと思います。個人によって、お子さんの教育資金を作るためや、老後の生活資金のため、あるいは旅行資金を増やすためなど様々な目的があり、その最終的な目的から逆算することだと思います。ですから答える人によって違ってきますね。

例えば、お子さんの教育資金のためにS&P 500の積立投資をしてきて、あと2年で大学生になるという時に、たまたま今が史上最高値であり、2年先に資金が必要なのであれば、そのことを意識しながら少しずつ売り始めたり、いっそ全部売却してしまうことも考えられると思いますが、皆さんの考え方によっても異なってくると思います。

当然、全て売却してしまい、1年後にさらに上がっている可能性もありますので、様々なことを考慮しながら計画的に売り始めるというのが正しいのではないかと思います。

これから半年間はマーケットが上がりそうだという強い確信があれば、半年間は売らないなど、色々な考え方があるでしょう。ただし、株はリスク資産です。急に想定外に上がれば、下がることもあります。資金のニーズが確定しているのであれば、あまり欲張らず、計画的に現金化することでしょう。

次に株が下がると売りたくなる理由ですが、3つポイントがあります。

1つ目として、まず皆さんの頭の中に入れていただきたいのが、株は上がることもあれば下がることもあるという基本的なことです。昨今のようにブルマーケットで、史上最高値を更新していても調整があるということを理解しておかなければいけません。

そして2つ目に投資をしている銘柄の将来像が描けるかを考え、描けない銘柄は持たないということです。よくあるケースとして、誰かの推奨銘柄を鵜呑みにして、その企業のことがよく理解しないまま買ってしまい、株が下がったときに何が起きているかよくわからず、もっと下がるのではないかという不安に陥って売ってしまうことが挙げられます。

今回は米国株の話をしているので、まずはS&P500の投資信託に投資するのであれば、これから5年先もしくは10年先に米国や米国経済がどうなっているかを考えて、自分なりに納得していなければなりません。それをよく考えないで米国株に投資をするのはある意味間違いと言えます。

では米国が今後どうなのかというと、例えば日本と違って人口も増えていきます。米国の経済成長率も日本の経済成長率を上回ってこれから伸びていきます。その過程で何が起きるかというと、やはり企業業績が伸びやすくなります。そのような理由から私は、10年ほど先にはS&P500が現在の倍になると考えています。

これはそんなに難しい話ではなく、1年間で6%複利で上昇していくと11年ほどで倍になります。米国株式市場が年間平均6%上昇というのは歴史的に見ても決して非現実的ではありません。一方で米国経済も風邪をひいたりすることがあります。つまり景気後退や調整でマーケットが下がる局面もありますが、10年先が上がってるという強い自信があればそこで追加投資ができます。これは個別銘柄にも当てはまります。

なぜ売ってしまうか、それは知らない銘柄を持っているから、自信がないのです。ですから個別銘柄のこと、業界や基本的な収益構造、同業他社に対して何が優位なのか、などを研究しておけば株が下がった局面でも安心していられるでしょう。

3つ目は、取れないリスクをとってないか、ということです。リスク許容度は人それぞれです。分かりやすく言うと、ある銘柄を買ってしまって夜も眠れないくらい心配な場合は、取れないリスクを取っていると言えるでしょう。ですので、安心して持てる銘柄を持ち、安心して持てる金額を投資するようにしましょう。そうすれば下がっても売らなくていいという気持ちになれると思います。

例えば1億円持っている人が100万円の株を買って、10%下がって10万円損したとしましょう。でも1億円と比べたら10万円は大した金額ではないかもしれません。一方で100万円しか持ってないにもかかわらず全力投資をした場合、10%下がり90万円なってしまったら、それは怖いと感じるかもしれません。ひょっとしたら明日もっと下がるかもしれない、明後日もっと下がるかもしれないと不安になってしまうかもしれません。取れるリスクを取れば、もし株価が下がったとしてもそこで売らなきゃいけないというプレッシャーがなくなると思います。

Q.米国市場に上場する新興国の企業は、米国株扱いか

 

米国市場に上場する新興国の企業は、米国株扱いされるのでしょうか。

 

 

 

回答

 

米国株式市場では数多くの海外の企業が上場しており、先進国や新興国に関わらず、外国の株というカテゴリーでADR(American Depositary Receipt)、米国預託証券と呼ばれています。このADRとは何かと言うと、米国以外の国々で発行された株式を裏付けの資産として信託銀行で発行され、米国証券取引所に上場している預託証券のことを言います。ですので、この場合は米国株として市場で取引されています。