2021年前半の米国株式市場ではバリュー銘柄がグロース銘柄を大きくアウトパフォーム

S&P500のバリュー指数は2020年10月末から2021年の6月7日までで63%上昇、S&P500は29%の上昇です。一方、S&P500のグロース指数は23%しか上がっていません。2021年に入ってからで見てみますと、同バリュー指数は32%上昇、同グロースは5%だけの上昇となっています。

これまでバリュー銘柄が上昇してきた理由は、以下のグラフで説明ができます。このグラフは、S&P500のバリュー指数とグロース指数の前年同期比のEPS成長率の差の推移を表したものです。 

【図表】
出所:ブルームバーグからマネックス証券作成

2020年に新型コロナウイルス感染拡大が始まった第2四半期の同グロース指数とバリュー指数のEPS成長率の差は65%ポイントでした。グロース企業がコロナ禍において業績の悪化を上手く防ぐことができた一方、バリュー企業は経済の悪化の影響をダイレクトに受けてしまった結果です。

その後、バリュー銘柄の業績が急速に回復し始め、2021年の第1四半期にはその差が4%ポイントまで改善し、両指数の成長率の差はほとんど変わらなくなってきました。そして、それが来月7月半ばから発表される予定の第2四半期の差になると、ついにバリュー指数の業績の伸びがグロース指数の業績の伸びを60%ポイント上回って大逆転するという見通しになっています。

バリュー指数のアウトパフォームは急速な業績回復のお陰、そろそろピークか

これこそが、今までバリュー指数が、グロース指数を大きくアウトパフォームしてきた理由なのです。バリュー指数の上昇は、(グラフ上の)青い線が右肩上がりで上がっているというトレンドのお陰です。それが、第2四半期の決算発表をもってバリュー指数のグロース指数に対するEPS予想の差はピークを付けるのではないでしょうか。

このところのグロース指数がバリュー指数をアウトパフォームするという株式市場の動きは、このようなターニングポイントを意識し始めてきたからではないかと思っています。

但し、これでバリュー指数の上昇が終わるということではなく、対バリューでこのところおとなしかったグロース指数採用銘柄が相対的に再度活躍し始めたのではないかと考えています。

グロース銘柄にとっての最悪期は終わったのではないでしょうか。もちろん、ここから連日グロース指数が上昇するということではありません。グロースとバリューの上昇が交互に繰り返しながら、S&P500の史上最高値を更新させていくのではないかと考えています。