先週の大幅下落からの戻り歩調をしっかり辿れるかが焦点となる。前提は米国株相場が落ち着くことだが、米国市場の急落を誘ったインフレ懸念もとりあえず一服していることに加え、今週は米国のインフレ懸念を助長するような経済指標の発表はとくにないこともあって投資家も冷静さを取り戻すだろう。むしろ19日に発表されるFOMC議事録(4月開催分)で引き続き緩和長期化の姿勢が示されれば株式相場のサポート要因となる。

先週末に米国で発表された小売売上高および鉱工業生産は弱い数値となり債券が買われ長期金利は低下。長期金利の指標である表面利率1.625%の10年物国債利回りは前日比0.03%低い1.63%で終えた。金利低下を受けてハイテク株が買い直されてナスダック総合指数の上昇率はダウ平均の2倍となった。週明けの東京市場も続伸して始まりそうだが、節目の2万8500円近辺では戻り待ちの売りに押されて頭が重くなるかもしれない。

決算発表が一巡し、改めて企業業績改善を評価した買いもじわりと入ってくるだろう。日経新聞の集計では製造業の利益は22年3月期にコロナ前の95%まで回復する見通しとなっている。

18日に、2021年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値の発表がある。3四半期ぶりのマイナス成長が予想されている。1~3月期は新型コロナウイルスの感染拡大がおさまらず、政府が2度目の緊急事態宣言の発令に踏み切った時期だから当然と受け止められるだろう。相場は足元のさらなる悪化に反応して下値を探っている状況なので終わった1~3月期のGDPは材料視されないだろう。

経済指標としては中国の工業生産などのほうが重要だ。17日に小売売上高などと同時に発表される。日本では工作機械受注が注目される。決算発表は峠を越えたが、米国のアプライドマテリアルの決算が再び半導体株物色を強めるきっかけになるか。

今週の予想レンジは2万8000円~2万9000円とする。