東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に続伸となりました。日経平均はほぼ横ばいの29,330円で寄り付くと取引開始から10分余りで94円安の29,237円まで下落しましたが、下げ幅を縮めるとプラスに転じ10時10分過ぎに118円高の29,449円まで上昇し82円高の29,414円で前場を終えました。29円高の29,360円でスタートした後場の日経平均は13時過ぎに7円高の29,339円まで上げ幅を縮めた後14時20分過ぎに60円高の29,391円まで戻す場面もありましたが、上値は重くその後上げ幅を縮めると結局26円高の29,357円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。
2.個別銘柄等
日本製鉄(5401)が5.7%高となり昨日に続いて年初来高値を更新しました。取引時間中の13時30分に決算を発表し2022年3月期の最終損益が市場予想を上回る2400億円の黒字になるとの見通しを公表したことで決算発表直後に一段高となりました。家電量販店のノジマ(7419)も12.4%高となりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出自粛が続きテレビやパソコンなどのデジタル家電や生活家電などが伸びたことで2021年3月期の営業利益が前期比で5割近い増益となり最高益を更新したうえ、小幅な増益ながら2022年3月期も引き続き最高益を更新する見通しを発表したことで買いを集めました。また、ジャスダック市場ではワークマン(7564)も4月の既存店売上高が前年同月比24.5%増と高い伸びとなったことで3.6%高となっています。
一方で13時40分過ぎに決算を発表した三菱商事(8058)が4.0%安となりました。2022年3月期の最終利益が前期比2.2倍の3800億円になるとの見通しを公表しましたが、市場予想に届かなかったことで決算発表後に下げ幅を広げました。任天堂(7974)も一時3.1%安となりました。2021年3月期の営業利益は前期比8割を超す大幅な増益となり最高益を更新しましたが、2022年3月期の営業利益が2割を超す減益となる見通しを発表し、市場予想も下回ったことで売りが優勢となりました。ヒロセ電機(6806)も急落し12.6%安となり年初来安値を更新しました。2022年3月期の営業利益が小幅ながら減益となる見通しを発表し市場予想も下回ったことや、新たに示した株主還元方針が十分ではないとの見方もあって売りがかさみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は26円高となりました。昨日に500円以上上げていたこともあって利益確定の売りが先行しましたが、下げ幅を三桁に広げることなく底堅さをみせると昨日の米国市場でダウ平均が史上最高値を更新したこともあってまもなくして買いが優勢となりました。しかし、伸び悩むと昨日に超えることができなかった一目均衡表の雲の上限(29,414円)を本日も引けで上回ることができませんでした。来週から一段と決算発表が本格化しますが、こうしたなかで一目均衡表の雲を上に抜けてさらに戻りを試すことができるかが引き続きポイントとなりそうです。なお、本日も引け後にディー・エヌ・エー(2432)やJFEホールディングス(5411)、オリンパス(7733)、リコー(7752)、日本航空(9201)などが決算を発表する予定です。
また、日本時間の21時30分には4月の米雇用統計が発表される予定です。昨日の予想を上回る改善をみせた米新規失業保険申請件数の発表を受けて雇用回復への期待が高まっているだけに注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)