東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。日経平均は48円高の29,174円で寄り付くと直後に60円高の29,187円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めるとしばらく昨日の終値を挟んで小幅に揉み合いました。しかし、10時過ぎから売りが優勢になると前引け間際に83円安の29,042円まで下落し79円安で前場を終えました。77円安の29,048円でスタートした後場の日経平均は後場寄り直後に94円安の29,031円まで下落した後13時30分前に14円安の29,111円まで戻しましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げ大引け間際に136円安の28,990円まで下落すると結局134円安の28,991円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇となった一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。

2.個別銘柄等

キヤノン(7751)が一時3.4%高となり年初来高値を更新しました。第1四半期の決算を発表し監視カメラなど新規事業が好調なうえ、デジタルカメラなど従来製品の販売も上向くことから通期の営業利益の見通しを1585億円から市場予想を上回る1980億円に引き上げたことが好感されました。しかし、買いが続かず引けは1.3%安となっています。IHI(7013)も5.8%高となりました。販管費の削減や円安による為替差益などが寄与し2021年3月期の営業利益の見通しを200億円から270億円に引き上げたことで買いを集めました。また、岩崎電気(6924)も比較的利益率の高い商品の売上が増加したことなどで2021年3月期の営業利益の見通しを20億円から29億円に上方修正したことで7.9%高となっています。日本製紙(3863)も6.3%高となりました。世界的に需給が逼迫するレアメタルを使わない高性能蓄電池の開発に乗り出すと報じられたことが材料視されました。

一方でコーエーテクモホールディングス(3635)が一時5.4%安となりました。2022年3月期の営業利益の見通しが前期比で小幅な増益に止まったうえ、市場予想も下回ったことで売りが優勢となりました。日東電工(6988)も今期の営業利益が二桁の増益となる見通しを発表したものの市場予想に届かなかったことで3.7%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は134円安となりました。昨日の米国市場でS&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したこともあって上昇して始まりましたが、75日移動平均線(29,216円)を前に伸び悩むと下落に転じました。好決算を発表した後に売られる銘柄が目立つことによる決算発表への警戒感が相場の重石になっているとみられますが、決算発表後のこうした株価の冴えない反応が今後も続くと一段と上値が重くなりそうです。

なお、本日も引け後には日立建機(6305)やアドバンテスト(6857)、ファナック(6954)、京セラ(6971)などが決算を発表する予定です。また、27日の米国ではマイクロソフト(MSFT)やグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)