【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 32,981.55  ▼85.41 (3/31)
NASDAQ: 13,246.87  △201.48 (3/31)

1.概況

米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均は景気敏感株に利益確定の売りが出て続落となりましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はバイデン政権のインフラ投資計画の概要が公表された後も長期金利が1.7%台前半で落ち着いた動きとなっていたことからハイテク株に買いが入り3日ぶりに反発となりました。ダウ平均は49ドル高でスタートすると朝方に106ドル高まで上昇する場面もありましたが、買いが続かず上げ幅を縮めるとしばらくは前日終値を挟んで小幅に揉み合いました。その後午後に入ってやや買いが優勢となりましたが伸び悩むと引けにかけて下落に転じ結局85ドル安の32,981ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が14ポイント高の3,972ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も201ポイント高の13,246ポイントとなり1%を超える上昇となっています。

2.経済指標等

ADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は51万7000人増となり前月から大幅に増加したものの市場予想には届きませんでした。また、2月の米中古住宅販売仮契約指数も前月比10.6%低下の110.3となり市場予想を下回りました。一方で3月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は66.3と前月から上昇し市場予想も上回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が下げ、エネルギーと金融が1%近く下落しました。一方で情報技術や一般消費財・サービスなどの5業種が上げ、情報技術は1%を超える上昇となりました。

4.個別銘柄動向

ハイテク株に買いが入るなかバイデン政権のインフラ投資計画が電気自動車の普及を後押しするとして電気自動車のテスラ(TSLA)が5%余り上げたほか、フェイスブック(FB)も2%を超える上昇となり、アップル(AAPL)も2%近く上げています。マイクロソフト(MSFT)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)も1%を上回る上昇となりました。また、バイデン政権のインフラ投資計画に製造業の振興策として半導体の米国生産を支援する補助金が盛り込まれたことで半導体製造装置関連が買われアプライドマテリアルズ(AMAT)が5%以上上げ、ラムリサーチ(LRCX)とKLA(KLA)も4%前後の上昇となりました。半導体株も高くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とエヌビディア(NVDA)が3%以上上げたうえ、マイクロン・テクノロジー(MU)とクアルコム(QCOM)も2%近く上昇しました。さらにウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)が通期の1株利益の見通しを引き上げたことで3%以上上げ、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなっています。

5.為替・金利等

長期金利は0.04%高い1.74%となりました。ドル円は110円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は昨日の米国市場でハイテク株が買われナスダック総合株価指数が大幅高となったことから上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が25日移動平均線(昨日時点で29,335円)を回復できるかがポイントとなりそうです。また本日は寄り付き前の8時50分に日銀短観が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)