週末は兼務先の大学の卒業式に参加しました。入学時とは見違えるほど立派になった卒業生の姿を見て、若い頭脳にとっての4年間・3万5千時間の学びやさまざまな活動はやっぱり貴重だと実感しました。

ところが、今年の大学受験者数は、前年比で4.8%、15.6万人も減少した模様です(河合塾。3/19時点)。少子化とはいえ、高校卒業生の減少率は3%弱に過ぎません。特に私立が厳しく、国士館大、白百合女子大、玉川大などは、下落率が約40%にも上り、昨年を上回ったのは、千葉工業大、駒澤大、学習院大などごくわずかに留まりました。

理由はいくつかあるようです。例えば、併願数が多い傾向がある浪人生の減少です。今年は30年ぶりに大学共通テストが新方式に切り替わったため、昨年中にケリをつけた人が多かったと見られています。新型コロナで都市部への“記念受験”が減った一方、短期で手に職をつけられる専門学校等の志願者数が急増したことも関係しているようです。

深刻なのは、家計負担が理由となったケースです。大学生には、新型コロナの「学生支援緊急給付金」がありましたし、高校は昨年実質無償化が拡充されました。ですが、大学受験料支援については、議論はありつつも実現しませんでした。因みに、受験料の一部を免除した千葉工業大学では受験者数が大幅に増加しました。

職業能力獲得の点では、大卒にこだわる必要はないと思います。しかしもし、経済的な理由で大学進学を諦めざるを得なかったなら、この1年という短い期間の家計の問題が、一生の進路に影響を与えたことになり残念です。

昨年は異例だったとしても、社会の変化が激しくなる中では、今後も家計の一大事にたまたま収入が減るというリスクは考えざるを得ません。収入源の多様化は一案ですが、若い頃に異業種で働くことは容易ではありません。せめて、自分の会社とは違う業界に投資することは、ライフイベントのリスクヘッジになるのでは…などと、いろいろと考えさせられる春先でした。