東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は7日ぶりに小幅反落となりました。日経平均は84円安の29,836円で寄り付き直後に95円安の29,825円まで下落した後切り返すとプラスに転じ11時前に63円高の29,984円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めると25円高の29,946円で前場を終えました。
マイナスに転じ18円安の29,902円でスタートした後場の日経平均は12時40分前に92円安の29,828円まで下落しましたが、その後引けにかけて下げ幅を縮めると結局6円安の29,914円とほぼ横ばいで取引を終えています。
一方でTOPIXは小幅に7日続伸となっています。また、新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均は揃って上昇となりました。
2.個別銘柄等
アスクル(2678)が8.5%高となりました。医療機関や企業を中心に消毒液や飛沫防止パネルなどの需要が増えていることや、在宅勤務の浸透で落ち込んだオフィス用品の販売も回復傾向にあることなどから2021年5月期の営業利益の見通しを108億円から130億円に上方修正したうえ、増配と株式分割も発表したこともあって買いを集めました。朝日放送グループホールディングス(9405)も3.5%高となりました。主力の放送事業において従来予想よりもテレビスポット収入を主とする放送事業収入が増加したことに加え、費用削減の効果もあって2021年3月期の営業利益の見通しを16億円から24億円に引き上げたことが好感されました。
東証2部市場では帝国ホテル(9708)も5.2%高となりました。老朽化する施設を一新しブランド力を高めるために旗艦施設の帝国ホテル東京を建て替える方針を固めたと伝わったことが材料視されました。
一方でツルハホールディングス(3391)が5.4%安となりました。第3四半期9カ月間累計の営業利益は前年同期比8.7%増となりましたが、第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比8.2%減と減益に転じたことが嫌気されました。東京電力ホールディングス(9501)も10.2%安となりました。テロ対策などのために設置した監視装置が長期間にわたり故障していたことを受けて柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が不透明になったことで売りがかさみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は6円安となりました。朝方の売り一巡後に持ち直しプラスとなる場面もありましたが、30,000円の大台を前に伸び悩むと後場に入って再び売りが優勢となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えていることもあって様子見ムードも強くさすがに30,000円を超えて買い上がるのは難しかったということなのでしょう。
なお、そのFOMCですが日本時間の18日午前3時に結果が発表されるほか、3時30分にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が予定されています。米国経済や政策金利の見通しに加え、記者会見でのパウエルFRB議長から金利上昇をけん制するような発言があるのかが注目されます。
( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之 )