メイトゥ、ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)を合計でおよそ43億円購入

香港取引所に上場しているメイトゥ(01357)が内部留保の一部を暗号資産に切り替え、BTCとETHを購入したことが報道されています。
公に発表された中華系企業の中では初の事例ではないでしょうか。購入額はBTCが24億円、ETHが19億円相当で合計およそ43億円とのことです。

中国においては未だ暗号資産の売買は公では禁止しているため、今回の件に対して、中国当局がどのような対応を取るかが注目でしょう。
ただし、メイトゥ本社は中国本土にあるようですが、本店登記はケイマン諸島だそうです。
メイトゥとしては、リーガルリスク的にはクリアしている認識なのかもしれません。

米国の追加経済対策1.9兆ドル上院通過が確定の見通し、BTCは上昇

報道によると、米国における新型コロナウイルス対策の追加経済対策1.9兆ドル予算案は、上院においてようやく可決するとのことです。3月6日、7日にBTC/JPYが上昇し、550万円を超える水準にまで回復しました。ただし、3月8日の株式市場の東京時間前場は上窓ではじまりましたが、その上昇分を執筆時(3月8日午前中)に徐々に消しています。
米国の追加経済対策の予算案の上院における可決については、市場の大半で織り込み済みだと考えられます。暗号資産市場は土日もオープンしていることと、プロの機関投資家はほとんどおりませんので、こういったある程度織り込まれていたであろうファンダメンタルズも最後の最後で素直に反応することが多いです。

上記のことから、今週、株式市場が軟調に推移し、米国の長期金利が再度上昇した場合には、BTC/JPYは再び500万円付近まで押し戻される可能性があります。

BTC/JPY、中期的には深い押し目買いか

【図表1】BTC/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

図表1はBTC/JPYの日足チャートです。460~560万円で上値と下値のレジスタンスサポートラインを引きました。上に抜けそうな形状になりつつありますが、個人的にはもうしばらく上値は重いのではないかと考えています。

前述通り、暗号資産市場おいては土日に個人投資家からの買いが入っていると思います。中国企業がBTCとETHを購入したというニュースでアジア系投資家の買いを誘った可能性もあると考えられます。

金融市場では米国の追加経済対策法案の上院での可決を材料として織り込んでいたことを考慮し、私自身としてはBTC/JPYにおいてはデイトレでは売り目線、中期的には深い押し目買いで考えるのがよいのではないかと考えています。

よって、今週も深い押し目買いをどっしりと構えた戦略が良いように感じます。

BTC/JPY 4時間足、引き続き慎重姿勢を継続

【図表2】BTC/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

先週のコラム同様に引き続き慎重姿勢を堅持し、BTC/JPYが460万円手前からの買いをイメージしたいと思います。

BTC/JPYの500万円付近は直近、小さなサポートラインが引けそうです。もし仮にこの水準を割り込んだ場合460万円付近まで下落する可能性があるのではないかと個人的には考えています。

明らかにこの3月6日、7日は個人投資家の買いが優勢だったと思いますし、そう簡単に市場は儲けさせてくれるようなことはないでしょう。今一度、下方向に損切りするタイミングを挟みながら、調整を何度か繰り返すと、最終的に上昇しやすくなるのではないかと考えます。

BTC/JPYが460万円を割り込んだ場合、次のサポートラインは435万円前後になります。ちょうど米ドル/円も108.50付近まで上昇しましたし、ビットコイン(ドル建て)ですとキリのよい4万ドルのため、仮に3月ここまで下落するとしたら絶好の買い場の一つと考えられるでしょう。

今週はこの2つのポイントを意識して投資戦略を考えたいところです。

ハードフォークを好感し、イーサリアム(ETH)は上昇し、18万円を超える水準にまで回復

週末にはETHデベロッパー会議が開催

【図表3】ETH/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いて、ETH/JPYの日足チャートです。先週末、ETH手数料を下げる(報酬をBurnする)機能、EIP-1559の実装の可否について、ETHデベロッパー会議がありました。結論的にはデベロッパー参加者の支持が得られたとのことで、この実装が2021年7月に行われる方向で調整が決まったようです。

これを好感してETH/JPYは上昇し、18万円を超える水準にまで回復しました。現在、ETHはDeFiトークンバブルの恩恵を受けて価格上昇をしたのですが、送金手数料が1回あたり、数十ドルもかかる現状に直面しておりました。いわゆる、送金手数料高騰問題です。

元々ETHブロックチェーンはEcoシステムだったのにも関わらず、今ではBTCの送金手数料を遥かに上回る金額となってしまっている矛盾が生じています。

今後、このETHのアップデートには随時進捗があると思いますが、現状は7月のハードフォークにてEIP-1559が難なく実装されれば、大きな価格上昇要因に繋がりそうです。
期待の買いが入ってくる前提で、押し目買いの目安を検討していきましょう。

ETH/JPYは、直近安値のサポートラインが検討の水準か

【図表4】ETH/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPYの4時間足について解説します。図表4の通り、直近安値が14万円付近となります。
このサポートラインをバックに押し目買いと考えるのがよいと考えられます。この場合、株式市場が軟調→暗号資産市場軟調という前提になりますが、ETH/JPYは好材料が控えるため下落幅は限定的なのではないかと考えています。

暗号資産相場と対峙する場合の注意点

2020年はコロナショックがあり、株式市場が崩れ、数日遅れて暗号資産市場も急落しました。私は、当時のことも記憶しているため、浅い押し目で入ることをなるべく避けたいと考えています。また前回のコラムでもお伝えしましたが、BTC/JPYの3月の月足陽線確率は2勝7敗となります。

過去の値動きはAIも記憶しているでしょうし、下落が始まれば加速しやすい月でもあります。
3月陰線になるには、BTC/JPYが480万円を割り込む必要があり、まだ距離が比較的あることから、アノマリートレードとして考えるならば現在地からショートトレードも選択肢の1つとして考えられます。

今週のコラムは中立的な立場を取り、現時点では少々売り目線、大きく下落したタイミングでは買い目線にて、大きなレンジ相場を予想したいと思います。