株式市場が堅調な中、金(ゴールド)の価格は低迷

株式市場は2月も堅調に上昇しています。日経平均株価は2月15日に3万円台に到達し、米国株の主要株価指数である、S&P500、NYダウ、NASDAQ総合指数も2月中に史上最高値を更新しています。

同時に銅、プラチナといった貴金属の価格も上昇してきています。また、原油も1バレル=60ドル台に到達し、一年ぶりの高値水準となりました。貴金属やエネルギー資源といった現物市場への資金流入が加速しているように見えます。株式、貴金属などのコモディティ以外にも、日本の居住用不動産の価格も堅調に推移しています。

これらの価格上昇は、逆の視点で見ると法定通貨(米ドルや日本円)の価値が下がっていると考えることもできます。

その中で不思議なのが、金(ゴールド)の価格推移です。2021年1月1日に先物で1トロイオンス=1,900ドル台となったのが、2月に入ってから1,800ドル前後まで下がっています。

これは、他の貴金属と対照的な動きです。原油や、銅、プラチナといった資産価格の上昇は、世界的な景気回復の期待を先取りしていると考えらえます。経済活動の正常化に伴い、これらの実需が高まることが多く、景気の先行指標とされています。また、プラチナが6年ぶりに高値を更新しています。その理由は、水素自動車の触媒としての需要が期待され、脱炭素化の象徴とされているからです。

金は他の貴金属と比較して、宝飾品需要のニーズはあるものの、貨幣に替わる富の貯蔵手段としてのポジションをビットコインをはじめとする暗号資産に奪われつつあるのかもしれません。

将来の大きなトレンドを予測することが大事

私自身は金に投資した事は、今までありません。その理由は、前述のように需要と供給の関係が予測しづらく、「希少性にかける投資」が成り立ちにくいと思っているからです。
暗号資産の登場で、金の存在価値が今までとは変わってきているのかもしれません。

これからの金価格が、このまま低迷を続けるのかまたは上昇するのかを予想するのは簡単ではないと思います。様々な資産を比較し、値動きを長期的な視点で見ることで、将来に向けての大きなトレンドが見えてくるのではないでしょうか。