マイホームを購入するときに、現金一括払いで買う人はそうは多くないはずです。ほとんどの場合がローンを組んで住宅を取得することになります。住宅ローンという名称にはなじみがあるかもしれませんが、実際にどのような種類があり、どのような返済方法があるのかを知っておきましょう。

ローンはどう選ぶ?(公的ローン、民間ローン、フラット35 )

住宅ローンと言えば、銀行で借りるというのが最もイメージしやすいかもしれませんが、実は大きく分けて「公的ローン」と「民間ローン」があります。銀行などの金融機関からの借入は民間ローンに分類されます。

公的ローン

公的ローンは「財形住宅融資」や「自治体融資」などに分類されます。

財形住宅融資は会社で財形貯蓄を行っている人が、財形貯蓄の残高や年収に対する借入の負担率など、一定の要件を満たすと借り入れることができるローンです。

購入する物件についても条件があります。財形貯蓄を継続して貯めておくなどの計画が必要ですが、比較的低金利で融資を受けることができたり、融資の手数料がかからないなどのメリットがあります。金利は5年ごとに見直されますので、長期の固定で借りたいなど希望がある場合は慎重に検討しましょう。

自治体融資は、都道府県や市町村などが主としてローンを提供するものです。自治体そのものがお金を貸すケースよりは、金融機関と提携して利子分を負担するなどの形式で見かけることも多いです。あまり馴染みがないかもしれませんが、条件によっては有利な場合もありますので、購入を検討する地域でこのような制度がないか調べてみると良いでしょう。

民間ローン

民間ローンには、銀行やローン専門会社などの金融機関が提供する「住宅ローン」、不動産会社が窓口となる「提携ローン」、住宅金融支援機構と金融機関が提携して扱う「フラット35」などがあります。フラット35は公的ローンと民間ローンの中間のようなものですが、金融機関を窓口とすることが多いため、ここでは民間ローンに分類しておきます。

住宅ローンの中で最も主流なのが、銀行や信用金庫などから借り入れる金融機関の住宅ローンです。金融機関によって金利のタイプや手数料なども様々です。借り入れる金融機関で、住宅ローンと別のサービスを利用することで金利が下がったり、窓口ではなくネットで申し込むことで手数料が変わる場合もあります。金融機関の住宅ローンはサービスの幅が広いですので、複数の金融機関の情報を見比べると良いですね。長く付き合うことになるものですから、利便性なども考慮したいところです。

不動産会社と金融機関が提携して借り入れる住宅ローンは、手続きが一度に済むなどのメリットもあります。借り入れた後に住宅に関する税制優遇を受けるときの手続きの書類の準備がスムーズだったり、手付金・中間金などの融資日の調整がしやすいなども利点と言えるでしょう。低金利で借入できる場合もありますが、必ずしも自分に合ったプランが選べるとは限りませんので、他の住宅ローンと合わせて比較するようにしましょう。

フラット35は先述の通り、公的ローンと民間ローンの中間のようなローンです。住宅の広さや性能などに一定の条件がありますが、それを満たすと長期固定の金利で借り入れることができます。勤続年数が短い方や個人事業主の方も金融機関のローンに比べて借入しやすかったり、団体信用生命保険に加入できない方も申し込みができるなどの特徴があります。

最も見比べやすいのは金利の安さです。ただし、ほとんどの場合、長い期間の借入になりますので、利便性や選べる金利タイプなども合わせてしっかりと比較検討するようにしましょう。

住宅ローンの返済方法(元利均等返済と元金均等返済の違いとは)

借り入れた住宅ローンの返済方法は大きく分けて「元利均等返済」と「元金均等返済」の2通りがあります。一見同じように見えてしまいますが、「元利」と「元金」が違っています。

住宅ローンの返済額は、借り入れた「元金」の返済と「利息」の2つでできています。元金を多く払うほど住宅ローンの借入残高が減っていきます。

元利均等返済

元利均等返済は「ひと月〇万円」と毎月の返済額が一定の返済方法です。その金額の中で元金部分と利息部分の内訳が返済期間の経過とともに変わっていきます。元利均等返済は毎月の返済額の変動がなく、家計の支出の計画がしやすいため、こちらの返済方式を選ぶほうが一般的となっています。

返済開始当初は返済額の内訳は利息が多いため、なかなかローン残高が減っていかないという特徴もあります。また、この後説明する「元金均等返済」に比べると、ローン残高の減りが遅いため総支払額が大きくなります。総返済額を早く少なくしたいときは計画的に繰り上げ返済することなども合わせて検討してみましょう。

【元利均等返済の例】
3000万円を35年間で返済 利息は1%で計算
毎月返済額  84,685円
総返済額 35,567,700円
(利息 5,567,700円)

元金均等返済

元金均等返済は借りた住宅ローンの元金を返済期間で均等に分割して払っていく方式です。その元金に、住宅ローン残高に応じた利息を上乗せしてひと月の返済額が決まります。

借入当初はローン残高が多いため、支払う利息も多く、その分ひと月の返済額も多くなります。元本が減るにつれてひと月の返済額は減っていきますが、毎月同じ金額ではないことで家計の支出が分かりにくいという注意点もあります。当初の返済額が大きいため、年収による総返済額の割合によっては借入できる金額が低くなってしまう可能性もあります。

【元利均等返済の例】
3000万円を35年間で返済 利息は1%で計算

当初返済額  96,427円
総返済額 35,262,009円
(利息 5,262,009円)

現状だけを見て選ばない

住宅ローンは、借りる方法も返す方法も様々な選択肢があります。共働きで住宅ローンを検討している場合は、どちらの名義で借り入れるのか、それぞれローンを組むのかなど、さらに検討することが増えてきます。その時に大事なのが、現状だけを見て判断しないことです。今は2人ともフルタイムで働いていたとしても、出産や育児のために仕事を辞めたり働き方を変えたりして、収入が減ることもあり得ます。急な転職や転勤などもないとは言えません。

住宅ローンは一度借りてしまうと、簡単に変更するのが難しいので、長い目で起こり得る事態を想定して検討することが大切ですね。